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【AISTS #16】 3ヶ月を終えて ― 手応えと課題と

2019年9月24日にAISTSでの初日を迎えてから、3ヶ月が経ちました。
プログラムの内容については毎週の振り返りで書いてきたので、今回は、この3ヶ月で感じた手応えと課題を整理してみようと思います。
想像通りだった面も、そうでない面もありましたが、総じて前向きに捉えています

毎週の振り返りの記事は、以下のマガジンにまとめています。なんとか毎週休まずに書けました。
みなさんの反応が励みになっています。ありがとうございます。

手応え① ー 財務・会計

まずは分かりやすいところから。

財務会計は、経営コンサルタントとしての社会人生活7年間を通して関わってきた分野であり、講師陣とも踏み込んだ議論ができました。
こちらの会計制度の詳細までは把握できていませんし、その専門家になるつもりもありませんが、基本的な考え方と勘所のようなものは十分通用するレベルかなという印象です(そうでないと7年間何をやってきたのか、という話ですが)。

一方で、スポーツ特有の移籍やスポンサー関連の会計処理は、知識も経験もないので興味深かったです。
スポーツクラブのM&A関連(デューデリジェンス、バリュエーションなど)は講義ではほとんど触れられませんでしたが、この環境にあるうちに主体的に学んでおきたい内容です。

手応え② ー 構造化する力

これは、自分が思っていた以上に周りから評価してもらっている部分です。

グループでディスカッションする機会が多いのですが、しばしば議論が散らかります。
もちろん、アイディアを発散させる目的であればよいのですが、そのままそれぞれが言いたいことを言うだけで、まともな議論にならずに終わってしまいそうなこともよくあります。

そんな時に、「答えるべき問いは1と2。Aが言ってるのは1、Bの意見は2の話で、Cのはその具体例だよね。まずは1から意見をまとめよう。」というような発言をよくします。
「構造化する力」と表現しましたが、複数の要素に分解して、論点とその関係を整理して、抽象度を揃える、といったところでしょうか。
個人的には結構当たり前にやっていることなのですが、今の環境では思いのほか重宝されています。

手応え③ ー フットサルのキャラ付け

これはプログラムが始まるまでスタンスを悩んでいたのですが、今は完全に「フットサルキャラ」で通してます。

悩んでいた背景には以下の2つがありました。
・本当にフットサル(だけ)に関わりたいのか
・そうだとして、就職先としてのFIFAやUEFAは大人気でハードルが高い(他のスポーツでも経験積めればいいかな、という弱音を含む)

それを完全に払拭したわけではありませんが、うじうじ悩んでいても(少なくともそれを外に見せても)いいことはないので、事あるごとにフットサルに絡めた発言や質問をしています。

そうすると徐々に情報やネットワークが繋がってくるもので、FIFAで働く卒業生にメンターについてもらったり、UEFAに卒業論文の協力依頼をしたり(予定)、イングランドのFAの方と引き合わせてもらったり、楽しみな動きが出てきています。
年明けからは卒業論文を軸に、ネットワークをより広く深くしていければと思っています。

課題① ー 自分の意見を伝える力

ここからは課題です。

正確には「(常に)自分の意見を持つ」ところからのスタートだと感じています。
よく言われることではありますが、一般的に日本人は直接的な議論を避けがちで、自分の意見を明確に表明することに慣れていません。

一方こちらでは、自分の意見を伝えられないと「何も考えていない奴」と思われかねません。
いわゆる議論の場でなくても、例えば前日のサッカーの試合の話をしていても、「あの選手は交代させるべきだった」「あのVARの使い方は理解できない」といった話で、白熱して意見を戦わせるのが日常です。

僕の場合は、事実を調べて伝えることや、議論を整理する(上述の手応え②)ような発言が多く、意見を伝える発言はまだまだ少ないと実感しています(日本人の中でもその傾向が強いと思います)。
日常の思考の癖から、意識して変えていかなければと思っているところです。

課題② ー 英語でのコミュニケーション力

渡航前にある程度準備してきたつもりではあったものの、英語はやはり一つの大きな課題と痛感しています。
特にスピーキングですね。上述の自分の意見を伝える力の弱さの一つの要因にもなっています。

学生時代の留学経験はないものの、社会人生活のうち4年弱をシンガポールとロサンゼルスで過ごし、それなりに話せるようになったつもりではありました。
しかし当時は、あくまで日本企業からの出向者として日本企業相手のプロジェクトをシンガポール人やアメリカ人と進める環境だったので、顧客を日本語でコミュニケーションを取れる自分からの情報が(英語の優劣に関わらず)求められていました。

しかし今は(さらにその先のビジネスでは)そのような環境ではありません。
他で圧倒的な価値を提供することで同じような環境を作ることも一つの方法だとは思いますが、ゼネラリスト的なキャリアを送ってきた(志向も同様)ので、英語力の向上は不可欠と感じています。

あと、いまだに英語での雑談になかなか入っていけません。特に人数が多いとき。
長々と話してる割に内容は大したことない、などと自分を納得させる言い訳を作りがちですが、そもそも雑談はそういうものですしそこで築かれる人間関係が大事だと思うので、ここも来年の要改善事項です。

課題③ ー 講義の時間の使い方

年明けからチームプロジェクトや卒論が本格化するとはいえ、もちろん講義は続き、多くの時間(90分×3-4コマ×5日/週)を費やすこととなります。
多様なバックグラウンドの学生を集め、スポーツマネジメントに関する幅広い分野を短期間でカバーするというプログラムの性質上、各分野にあまり深入りできないことは理解できますが、だからといって漫然と講義を受けているだけでは得るものは多くないというのが率直な感想です。

とはいえ、知見に乏しい分野では効果的な質問や議論もできず、現状に甘んじてしまっていました。
そこで、来年は予習にしっかり力を入れようと思います。

大枠のテーマと講師は事前に案内されるので、それをもとに自分の興味のあるトピックを見つけて疑問点のリストアップをさぼらずにやることに加えて、その分野に知見のある方と事前にコミュニケーションをとって、日本での取り組みやそれを踏まえた疑問点を伺えると面白いと思っています。
ご協力いただくにはこちらからのフィードバックの質が重要となりますが、やり方を考えてトライしてみようと思います。

終わりに

こうして整理してみると、社会人経験で培ってきたハードスキルはある程度通用するものの、ソフトスキルが足りずに十分発揮しきれないという、日本人の典型的なパターンに陥りかけている気がします。
特に課題は、日本人によく言われていることで渡航前から意識していたことではありますが、実際に自分の体験として直面しないと、本当の意味では理解できないものなのかもしれません。
月並みなことが多くなりましたが、これが3ヶ月過ごしての正直な実感です。

残りの時間は限られているので、1年後にはここに書いた課題が手応えに変わっているように、引き続き頑張っていきます。

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