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【AISTS #38】 33週目 教室での講義が再開しました (2020/6/8-14)

スイスでは、概ね日常生活が戻ってきました
大学のキャンパスでの講義やレジャー・観光施設が再開し、レストランでのテーブルの人数制限もなくなりました。

AISTSでも、6月8日から教室での講義が再開しました。
自国に戻っているクラスメートもいるので全員は揃いませんが、講義は6月いっぱいなので、最後にまたみんなで集まれる状況になってよかったです。
オンラインでの配信も並行して継続されます。

スポーツは、サッカー(スーパーリーグ)が6月20日に無観客で試合を再開します。
タイトルの「外出自粛」も終わりにします。振り返ると、長い12週間でした。

Medicineの講義

先週に引き続き、医学の講義が続きます。

Managing Health - Physical Activity & Health Promotion

月曜日は、身体活動についての講義でした。
スポーツに限らず、日常生活のなかでの行動を含めた身体活動がテーマです。

世界(特に先進国)で運動不足による健康への悪影響が課題となっています。
交通手段や情報技術の発達により、自力で移動する必要性が小さくなっており、屋内で楽しめる娯楽も豊富です。
日本に限らず、子どもが外で遊ぶ習慣は徐々になくなってきているようです。

WHOにも問題意識があり、2018年に「More active people for a healthier world」と銘打ったアクションプランを発表しました。
いまや有名になったテドロス事務局長ですね。

結論としては、政策、インフラ、教育、メディアなど、様々なステークホルダーと要因が深く絡まり合っているテーマであり、国レベルで腰を据えて取り組むべき課題です、というお話しでした。

Managing Health - Movement analysis in sports

火曜日は、運動分析についての講義を受けました。
パフォーマンスの向上、怪我の予防、器具の改善などに活用されています。

運動の測定方法は大きく3つあります。

① Kinematics(運動学):角度、変位、速度などを測定
② Kinetics(運動力学):力(圧力、回転力など)を測定
③ Neuro muscular function / Electromyography:神経筋や筋肉の反応を測定

①の動きしか測定できなかった時代から、その動きの原因である②力を測定できるようになり、更にはその源である筋肉の反応を測定できるようになりました。
怪我や不調の原因をより正確に特定して対処できるようになるほか、義手や義足の開発には筋肉の測定が欠かせません。

日本企業では、富士通が国際体操連盟と共同開発している体操採点支援システムがすごいです。
選手の身体の動きを正確に測定し(Kinematics)、審判員の負荷軽減と迅速かつ正確な採点を可能にします。
例えば、「まっすぐなら減点無し、わずかに曲がるとマイナス0.1、明らかに曲がるとマイナス0.3」といった曖昧な基準を、明確な角度で定めることができるようになります。

延期になった影響で、東京オリンピックにも間に合うかもしれませんね。
ちなみに、国際体操連盟の会長は渡辺守成氏が務めており、日本人がトップに立つ唯一の国際競技連盟です。
日本が国際舞台で存在感を示すための一つの要因とも言えるかと思います。

Medicineのプレゼン(ポリクリニック)

水曜日から金曜日は、2人組でのプレゼンでした。
モジュールの最後にはPodcast形式で録音して提出するのですが、その中間でフィードバックを受ける、という位置づけのプレゼンでした。

例えば、このようなトピックがありました。

- The Power of Mind in Sports: mental toughness / fortitude and athletic performance
- Ice baths, how helpful are they in the recovery?
- High level sport at a young age and consequences on growth
- Does sexual activity affects performance of athletes in competition?

今回は韓国人と組んで、オリンピックにおけるポリクリニックについて発表しました。
ポリクリニックとは、大会期間中に選手村に開設される診療所のようなもので、幅広い分野に対応できるように人員と設備が整えられており、選手だけでなく、同行しているスタッフも含めて無料で診療を受けることができます。

基本的には各国に医療チームが帯同しますが、それができない国や、十分なスタッフを揃えられない国もあり、選手のコンディション維持をサポートします。
また、期間中に発生する急性疾患や怪我の応急処置にも対応し、手術などが必要な場合には指定の病院に搬送します。

例えば2018年の平昌冬季オリンピックでの診療件数は、サポーター(装具)の支給や調整が最も多く、次に歯科が続きます。
歯科の中ではマウスガード(マウスピース)が一番多いのですが、多くの選手が歯石除去やクリーニングを受けていたそうです。
歯科に限らず、自国で高品質の医療サービスを受けられない選手が、大会期間中にこのようなサービスを受けることが多かったとのことです。

個人的にはポリクリニックについての知識がほとんどなかったので、新しく知ることが多くて面白かったのですが、「マネジメントの視点をもっと入れた方がいいのでは」ということで、修正して来週の録音に臨みます。

また、二人とも英語があまり得意ではなく、更にリモートでつないでいることもあって、質疑応答はうまく対応できない部分もありました。
英語に不自由ないメンバーと組むとどうしても甘えてしまうので、こうして晒されるのも良い経験と思ってやっています。

ワインテイスティング

木曜日の午後は、貸し切りバスでワインテイスティングに行ってきました。
AISTSのExecutive Directorがぶどう畑を持っていて、毎年恒例のイベントになっています。

スイスワインはほとんどが国内で消費されており、輸出が少ないので日本ではあまり知られていませんが、一人あたり消費量は世界トップ10に入ります。

ローザンヌが属するヴォー(Vaud)州は主要な産地の一つで、今回はローザンヌとジュネーブの間に位置するFéchyのヴィンヤード(ぶどう畑)に行ってきました。
この地域の代表的なぶどうの品種がシャスラ(Chasselas)です。

まだぶどうが実る前の時期で、不要な芽を取り除く「芽かき」を体験させてもらいました。
雑談しながらぶどう畑の間を散歩して、最後はワイナリーで何種類かのワインをいただきました。
予報では天気が心配されましたが、歩くと暑いくらいの気持ちの良い天気でした。

ワイナリーには漫画『神の雫』のフランス語版が置いてあり、ひと盛り上がりしました。
スイス人やフランス人にとっても、勉強になる人気漫画になっているそうです。

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来週の予定

教室に戻ったばかりではありますが、いよいよ通常の講義は最終週です。
その翌週は、1月に開催されたユースオリンピックの振り返り、Medicineの試験、チームプロジェクトのプレゼン準備などがあり、6月29日と30日の最終プレゼンで締めくくりです。

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