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【四章】俺さ、東京さ、行くべ

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Try Try Try again.

たしかにSAは車が多い。そして多いが故にその分断られる。
さすがに何度も断られていると、本当に大丈夫か?ってなる。
ナンバープレートも意識はしていたが、やはり一般車では当たり前だが難しい。
社用車にも話しかけるが、なかなかOKはもらえない。
車にだけでなく、SAで出てきた人にも声をかけた。
なかなかつかまらない。
結構声をかけた。
もう1時間はたっている。
何人に声をかけたかなんて、覚えちゃいない。
小雨が少し僕をいじめてくる。
「お前にはできない。どーせむりだ。」
自分が自分にそういいはじめる。
自分が自分にたいして辛く当たりはじめる。
乗せてくれるかも!と思った人が、スケッチブックを見たものの、まるで僕がそこにはいないかのように車を走らせた。少し引かれそうになった。
遠距離トラックにも顔を覗かせたが、カーテンがしまっている。
休憩中だろうか。声すらかけられない。
そして一度ベンチによりかかる。
しかし、スケッチブックは閉じない。
なぜならそれを置くだけでも、見てくれる人がいる。
休憩中もヒッチハイクできるのだから。

そこにおばあちゃんがいた。
声をかけてくれた。
話した。

テレレレッテッテッテー!

おそらくおばあちゃんが食べるはずであろうメロンパンを2つも貰ってしまった。
2つだ。よほど好きなのではないか。
だが遠慮はしない。有り難く頂いた。
「お腹がすいたときにでも食べなさい。」
このメロンパンはひとつ108円だろうか。
お金よりも大切なことに気づかされた。
お金がなくてもくれる人だ。
親、友人、知らない人、なんでもいい。
部屋を貸してくれる友人
愛をくれる両親
メロンパンをくれるおばあちゃん
お金では買えない人たちだ。

このメロンパンはのちにいただくとして。
再びヒッチハイクをはじめる。

すると、声をかけた女性が食い付きをみせた。
その人は奥さんらしく、主人に聞かないとわからないから、と言われた。
そこで引き下がらなかった。
もしかすると、行きたくないときの行けたら行くかもしれない。
だがここで引いてしまってはいけない。
そうだったとしても、押しきってむしろ乗せてもらうぐらいの勢いだ。そしたら、ここより次のPAになら行くけど、ここのSAよりは小さいから、次が難しいかも。ということだった。
悩んだ。
もう出発するらしい。
今決めねばならない。
保留はない。
他に見つかる保証はない。

「もう少し粘ってみます。」
断る勇気。
この判断がいいのか悪いのか。
決断したからには、責任持つしかない。
嘆いても誰も助けてくれない。
断った以上、また声をかけてまわるしかない。
そこからもなかなか見つからない。
乗せてもらった方が良かったんじゃないか。それが頭をちらつく。
するとハーフ顔の女性と目が合う。
この雰囲気はありえるかもしれない。
スケッチブックをもって近づく。
窓を開けてくれた!
ヒッチハイクしてることを伝える。
伝わらない。
運転席にいるダンディーな夫らしき人がいて、
「わからないんだってよ」
と言われた。
そのときわかった。
日本語がわかんないやつだ!
そこで日常会話レベルなら英語のできる僕は
「I can speak English a little bit.」
と言った。
乗せてもらえるか、微妙な感じ。
乗せんのか?ノセテアゲマショウヨ
たまにあるらしいんだが、
付き添いの人は乗せてあげてもいいとかんがえ、
運転手の人があまりそうは思わない。
これが本当に一番申し訳なくなる。
害悪でしかなくなるからだ。
気まずい雰囲気が流れる。
主人は怒った雰囲気。
奥さんは僕とアイコンタクトとったり、かわいい。
すると主人の人が出てきた。
後ろの席を開けた。
「ん、乗れ」
もともとそんな感じの人だった!!
怒ってるとか機嫌わるいとかじゃなくて、
渋い漢だった。
結構時間がかかった分、嬉しさも大きかった。

【第三号車 天然奥さんダンディー主人】


「腹減ってるか?昼飯は?」
もちろん食べていない。
「コレ、タベテイイヨ」

ソーセージと焼き鳥2本いただいてしまった。
うまい。
からだにプロテインが行き渡る。
「ノドカワイテル?オミズアルヨ」
オミズ!
おいしい。オミズオイシイアルヨ。
この奥さんはフィリピンと日本のハーフのようだ。
そこでフィリピンのお金を見せてもらった。

金色、サイズは丁度1円玉くらい。
そして、日本円も渡された。
700円ぐらい。
「ノドカワクデショ、ソレデカッテ」
Really…?ゲンキンダヨ。
初めて出会ったよく知らない男なのに。
涙が流れた。気づかれないように抑えても、流れてくる。
嬉しい!とかより、感謝というか、感動というか、申し訳ないというか。
複雑な感情。
主人の方にも遠距離トラックを狙うといいと教えてくれた。
次のPAでは、トラックのドライバーさんに直接行こうと考えた。
赤塚PAに到着。
出会いあれば別れあり。

結構いるぞ遠距離トラック!!
いざ、参る。
(この写真撮った右手に牛をのせたトラックがいた。写真とる前に走り去ってしまった。)

ーーーーーーーーーーーーーー

ここで、事前に調べていた情報が頭をよぎる。
ここ最近、遠距離トラックの会社では、ヒッチハイクなどに対する規制がかかりつつあることを。
事故や事件に巻き込まれた際に責任の取りようがないからだ。
案の定そうだった。
「会社からダメって言われてるんだわ。ごめんな。」
その顔は、悲しい顔だった。
きっと僕もそんな顔だったのだろう。
ナンバープレートをみて、東京方面の地名を探す。
しかしわからない。
埼玉とか千葉とかはわかるんだが、
「野田(千葉」「習志野(千葉)」「ひたちなか(茨城)」とかになってくると、
それどこの地名だよってなった。
ググった。
丁度そこのPAには、ご飯食べるところがあったので、
そこにも声をかけに言った。
会社によってはまだ規制はかけられていないところもある。
そこを狙うしかない。
会社にダメと言われたらもうクビ覚悟で乗せることになるから、まだギリギリ大丈夫なところがあれば。
とはいえ、ここは難航した。
大きく3つ、
・会社からの規制
・カーテンがしまっている
・漫画読んでたりしてて、スケッチブックを見てくれない
これはじわじわヒッチハイクの時間を削ってきた。
辺りが暗くなってくる。
こんなところで降ろされた、と乗せてくれた人にまで腹をたててしまう自分に腹が立った。
傲るな。乗せてもらったんだ。
諦めるな。続けるんだ。絶対に大丈夫だ。なんとかなる。
でもそんな確証、どこにもない。
お腹もすいてきた。
吉野家がある。食べようか。
食べて一息してから…
いや、
もう一度だけ、もう一周だけ声をかけよう
それで無理なら一旦食おう。
ダメ
ダメ
ダメ
ダメ

、?
………
(乗れよのジェスチャー)
きっっっったあー!!!!!✨
ついに遠距離トラックに!!!

【第四号車 今回最長 遠距離トラックドライバー】

諦めなくて良かった。
あともう一度がんばってよかった。
あと10分もしないうちに出発するとこだったらしい。
良かった。空腹など捨てておけ。
ほんで目線が高けぇ!
そのドライバーのあんちゃんは僕がご飯食べるところで
声をかけた4人のおっちゃんのそばでそば食べてて、ヒッチハイクのことが聞こえたらしい。
あと俺が何回もぐるぐるしとるのもみてて、
ヒッチハイクやってんなー、声かけられたら乗せてあげようかな。
と考えていたらしい。
やはり、後悔しない方を選ぶことは大切だと痛感した。
おれがもし吉野家へ行ってたら…
あと何時間必要だったか…
そのあんちゃんは、以前にも2回ヒッチハイクしてる子を乗せたことがあるらしい。
丁度自分と似た感じの大学生一人と、カップルたそうだ。
ヒッチハイク同好会というのがあったらしく、それでやっていたんだと。
遠距離トラックとしては、
4時間走って30分休憩という感じらしい。
そして僕は疑問だった。
いったい何を運んでいるのか…。
映画の見すぎか。
今回は佐川急便とかの家具を運んでるそうだ。

やはり最近はヒッチハイクで乗せるのも厳しくなってきているらしい。
時代的にもこのヒッチハイクはギリギリかもしれない。
平成最後の夏はいいタイミングだった。
行き先は海老名SA!ここはヒッチハイカーには聖地らしいので。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ここで趣味の話で盛り上がった。
僕は大学に入り、初めてダンスを始めてて
丁度あんちゃんの息子もダンスやってたらしい。
そしてあんちゃんはビリヤード。
この仕事が一段落したら、結構大きめなビリヤードの大会を控えていた。
やっぱり趣味はいいと思う。
人として深みが生まれる。
その趣味もやはり大人になるにつれて難しくなる。
家庭を持つと、自分だけでなく、家族が優先される。
やっぱ若いうちにやりたいことやるのがいいと思う。
実際やっててそう思う。
映像作るのも、ダンスするのも、何か挑戦するのも。
あんちゃんの親父は自衛隊で、あんちゃんも自衛隊入ってたらしい。そこでは年功序列が半端なく、早く抜けたいと思ってた。
嫁さんができれば抜けられる。
というわけで今の奥さんだそうだ。
そこで話し合っていると、海老名ではなく、一回仕事を済ませるまでまってくれたら、早朝の4時に守谷SAまで乗せてくよとさらに乗せて貰えることに!
さらに、仕事まで少し時間があるけんレインボーブリッジ通ってもいいよ
ということで🌈レインボーブリッジ🌈も渡らせて貰いました!
(写真ブレブレです。すみません。)


レインボーブリッジ封鎖できません!のやつや。
もう至れり尽くせり。
↓そしてこれが壊れた外カメで撮ったIC(加工してません。)


ドライバーのあんちゃんが今回最長のヒッチハイクとなった。
というわけで新木場で晩御飯を食らう。

カレーうどん!辛いの苦手やのに!
空腹は最高のspice。うまい。
そして〆にご飯を入れる。これまたうまい。
とここでスマホの充電が危ういことに気づく。
近くのネカフェを探す。
スマホが死んだらどうしようもない。
残念だがここは初めて行くネカフェという手段を用いる。
さっそく自分の前に変なおっさんの客がいた。
「俺初めてやねん、うん、それでいい。ここシャワーないんか?まぁええわ。」
ずっとこんな感じの態度だった。
なんか嫌な感じだった。
ネカフェもう、行きたくない。
と思ったそのとき、
~ドリンク飲み放題~
ネカフェ、好き。
なんとかスマホを充電し終えて、ドリンクたらふく飲んで、ネカフェをあとにする。
そのあとコンビニの高速道路地図で確認しつつ、
あんちゃんも戻ってきて、守谷SAまで乗せてもらった。
初めて会った人だが、ずっとトラックに一緒にいたので、別れが惜しい。
なのでFacebookを交換しあった。
このnote見てくれてるかな~😊
硬い握手を交わし、再びヒッチハイクをする。
よく考えれば早朝じゃないか。

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