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#31 大工になったきっかけ

昔話。意外だ!と思われるかもしれないが、僕は木があまり好きじゃない。(特に手触り)
大工に対する憧れみたいなものなんて別になくて、気が付いたら大工になっていた、って感じです。
実は今でもわりとどうでもいいなと思いながらやっている。(オイ?!)   もちろんしっかりと、ね。


割り箸や、アイスの木の棒などは触れない。鳥肌が立つ。どうにも触らなければならない時は、水で湿らす等の対策が必要だ。おぉーーー、想像するとゾゾッとする。黒板キィーーーッに近いかも?僕は黒板はなんともないけど。


そんな僕なのになぜ大工になったのか。そのきっかけは、ある時僕の言動をみて変な会社の変な社長が、「お前はマジで大工やれ。すぐに上にいけるぞ。いけや。あ?」と猛プッシュしてくれたからです。


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きっかけとなったのは20歳前後のまだ見習いの頃。僕は何気なくこの写真のような屋根の設計図をゴミ箱から持ち帰り一人でそれを分析したりしていました。まぁこの形状はシンプルで簡単だけど。何がどうしてそうなるのか、それらを数字で知りたかったからです。それは仕事として、というよりは、分からないままに仕事するのが気持ち悪かったから分析した、というのがしっくりくるかも。

分からないところはとにかく考えた。17年前の当時はSNSなんてやってないし、YouTubeも盛んではなく、専門的な内容だから聞く相手も周りにいなかった。だから自分で考え続けた。

考え続けていても分からないところは、ふと夢の中でそれが解決したりして驚いた。(これはのちに音楽活動の中でも体験することになる)
きっとこれは、僕の感覚だけど、人や動物は寝ていても脳、ってか臓器は活動してるわけだから実は不自然なことではないのだと思う。

つまりどんな感じだったかというと、起きた瞬間に、「なるほど!そういうことか!マジかよ!」って感じでして、これはもう寝てる間に勝手に頑張ってくれたわけだから僕からしたらラッキーでしかない感覚です。上手く言えないが。上手く書けないが。
※余談だがこの話を従兄弟にしたら、アインシュタインもそういうことがあったらしいよ、と教えてくれた。へへっ。それはなんか嬉しいやん、と思った。
余談ダヨーンだよーだん余ー談。よ?

あ?


そして僕は自分で考えた計算式を用いて、これらの部材一本一本全ての長さや切断角度などをそのゴミとして捨てられていた図面に書き込んだ。
とある日、現場で親方の仕事を見ながら、さりげなく僕の計算があっているのか現物の木材の長さ等を確認した。ほぼあっていた。よしっ、と思った。

次に"ほぼあっていた"というのが気になった。僕はそこでもう一度家で計算してみた。やはり数字は間違いなかった。数字はいつだって嘘をつかない。
そこで、自分の計算ではなく親方の加工精度、及び施工精度、及び親方の性格や日頃の行いが悪いのでは?と感じた。

翌日屋根の上で作業中に何気なく親方に聞いてみた。「これ、なんかしっくりこないなー。とか感じたことありますか?」と。すると親方は、「んー、まぁ、多少短かったり長かったりってことはあるけど、木だし、色々絡んでるしなぁ。何が原因か分かんねぇしその都度直せば良いかなってな。そこまで考えたことはねぇな。どうせたかだか、屋根だ。上に人が乗ったり生活するわけじゃねぇし。ってか俺の家でもねぇし。知らねぇよ。まぁ気にしても意味ねぇな。あーセックスしてぇ」みたいなことを言っていた。

たしかに現場で合わせるのも一つの手法だ。よくあることでそれを僕らは"現物合わせ"という。つまり、「なんか複雑でよく分からんから、その場で合わせてなんとかしよう」ってことだ。それはそれで成立はしてるから一つの正解なのだけど、僕はそれを、自分の計算力と技術で気持ち良く解決できないだろうか、と思った。自己満の世界だけど。

自己満の世界だが、計算や数字の強みというのは、「ミスに気付ける」のだ。そこが強い。あれ?計算した数字と違うぞ、何かがおかしい、という過程を生み出すことができるのだ。現物合わせでは、その過程は生まれずにミスに気付くことは、できない。それにセックスは俺だっていつでもしたい。(オイ?!)

では、自分で計算したこの数字を形にしてみよう!と思った。親方にいちいち言うのもイヤらしいので(笑)、こっそりとまずは冷静に計算し、確実な墨付け、切断、そして施工取り付け。こそこそと。

ドキドキした。

…そしてそれらは、上手くいった。


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僕は完璧な仕事を知った。
そして僕はその時に学んだことや編み出した計算式、などを当時ノートに書き込んでいた。その編み出した計算式についても、僕が編み出すようなものはとっくに昔の偉大な先人達が編み出してるに決まってると思い、そこも調べて、そしてたどり着いたりした。少し違う部分もあったけど、そこは僕が省略化していたから、という程度の違いで、僕が悩んでいたことなど、そしてやっていたことなどやはりとっくに昔に綺麗に解決され行われていたのだと知り、あぁ、同じように悩んだ人がいるのだと、嬉しくなり凄くスッキリした記憶がある。


さて、大工になったきっかけ。
書き込んでいたノート。

最初に出てきた変な会社の変な社長のとこに戻ろう。その書き込んでいたノート、その社長にある時たまたま見られたんですよね。休憩中だったかな。で、

「お前なんだこれ。お前なんなん?誰?なにやってんのこれ?お前がこれやったの?は?」

みたいになりまして。そこから、なんか僕の話が広がり、色んな現場に入れるようになり、そこでも力を発揮することができ、なんか知らん間にあれよあれよと凄く世界が広がった、…うーん、広がってしまった?笑、みたいな流れです。それがきっかけでしたね。これね、僕ってよりは、数字が強いって話にもなるんですけどね。虎の威を借りたわけです。


それきっかけで、かつ完全に信頼を得ることができたのは&一番評価してもらえた仕事内容は、僕が一軒家の屋根の小屋組設計図の間違いに気付き、設計士に修正依頼を出した時に、その屋根が複雑過ぎたうえに設計士が当時忙しすぎたようでギブアップしたんですね。その時に僕が親方とその変な社長に「いや、俺それできるんでじゃあ代わりに俺がやるんでその分のお金下さい。あとは完成まで僕が全部やっときます」つって実際にやりきったんです。家でひたすらちっさい電卓叩いて笑。3日位計算しまくってその図面修正だけで12万くらい頂けた記憶があります。22歳の時だったと思います。


大工になったきっかけ。実はそんな流れがありました。そんなお話でした。
だからまぁ、もしかすると当時別の職種の人と絡んでいたら、現在全く違う仕事についていたかもしれませんね。

きっかけって、面白い。

これなに?