見出し画像

コロナウイルス対策をした上で祭を開催する10の方法

 7月6日、岸和田だんじり祭の中止が正式決定をしました。南大阪出身で現在もだんじり祭参加者として、信じたくない出来事でした。同時に、3月からコロナウイルスについてや、感染症、日々変わる感染者数の特性について勉強をし続けてきた私としては「絶対に道はあったのに・・・。」とも思いました。しかし、県外から観光客が多く集まる岸和田の特性、密にならざるを得ない祭の特性、周囲の環境など様々な葛藤があったと思います。関係者の皆さまお疲れ様でした。
 だんじり祭は、岸和田だんじり祭が有名ですが、南は和歌山県、東は三重県、西は岡山県や愛媛県西条市にもだんじり祭があります。私自身も堺市の陶器という地区で、幼少期から鳴り物を叩き、青年団、若頭会とだんじり祭に関わってきました。
 現在は、東京築地を拠点に、児童・生徒や学校給食の栄養教諭・学校栄養職員に和食の魅力を伝える和食給食応援団というものをやっていることから、人が集まらざるを得ない業態のため、コロナウイルスについて必死に勉強をし、道を探ってきました。
 現在のコロナウイルス感染症対策は、4月の「医療崩壊させない」という当初の目的から、「コロナウイルスを撲滅」するにいつの間にか目的が変わってきています。また、みんなが過度にコロナウイルスを恐れるあまり、1人の感染者も許さない状況が続いていますが、コロナだけでなく、ウイルスは世の中に無数におり、撲滅することは出来ません。上手に恐れず付き合っていくことが重要だと思います。チェックするべきは、感染者数でなく、重症者数と、病床利用率です。病院のベットがあいていればかかっても問題はありません。

今回、だんじり運営当事者である私が、コロナ対策をしたうえで実施する案を検討し、尊敬する永江一石先生に相談したところ、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸先生を紹介して頂きました。宮沢先生は、「祭は絶対にやるべき」ということで、急遽会って頂き、これなら実施できるという方法を相談してきました。これらがだんじりだけでなく、全国様々な祭関係者の目に触れ、開催を模索する糸口になればと思います。下記内容は、永江先生や宮沢先生が発信されている情報を祭に合わせて編集しなおしたものになります。

コロナウイルス対策をした上で祭を開催する10の方法

1、基礎疾患ある方は、参加せずにマスクして見学
コロナウイルスに感染して重症化・死に至る方は、ほぼすべて基礎疾患がある方になります。基礎疾患保有者が60歳以上に多いため、60歳を超えると重症化率が非常に高く見えました。そのため、当初は「感染すると重症化しやすい60歳以上は参加せずにマスクして見学」としていたのですが、宮沢先生より、60歳以上だから重症化しやすいのではなく、基礎疾患がある方が重症しやすいと教えて頂きました。基礎疾患とは、
  ・糖尿病
  ・心不全など慢性の循環器疾患
  ・肺気腫など慢性の肺疾患
  ・透析を受けている方
  ・免疫抑制剤や抗癌剤の投与を受けている方など、免疫が抑制された状態にある方
が挙げられており、若い方でも上記に当てはまる場合は、参加でなく、見学が必要です。また、念には念を入れて、高齢の方や妊娠中の方にも注意喚起をすることは良いとのことです。**

2、感染してもほぼ重症化しない子供の参加は可
現在、10代以下の感染者数は非常に低く、重症化率も非常に低いです。子供はかかりづらく、感染させづらい傾向にあるので、元気に参加してもらっても問題ありません。

3、屋内での長時間の寄り合いや食事を禁止
祭の醍醐味は本番だけでなく、本番までの準備にもあると思います。連日続く、鳴り物の練習、綱や提灯の確認、卒業する先輩への垂れ幕制作。祭時期は公民館に行けば誰かおり、お酒を飲みながら祭までの日にちを数える。しかし、今年は祭開催のために実施形態を考えましょう。
3密回避は宮沢先生も認める重要な施策です。ノロウイルスは微量でも体内に取り込まれれば、感染しますが、コロナウイルスは微量では感染をしません。そのため、室内での寄り合い等の場合は、大人数で集まらない、換気をしっかりする。向かい合って飲食を行わないなどの対策を取っての実施が必要だと思います。2時間も3時間も集まらずに、事前に議題を共有した上での短時間での進行管理が求められると思います。

4、祭参加者のマスクはなし。見学者等は全員マスク着用
祭参加者もマスク着用をしたいところですが、熱中症や酸素吸入量減で逆に危険なので、マスク着用はなし。見学者や運動量が少ない交通係や食事提供係などのサポートを担当する方は、全員マスク着用です。

5、参加者の手洗い・消毒、だんじり・神輿・山車・綱等の人が触れる部位の消毒をしっかり実施
祭に参加するすべての人々に手洗いを実施依頼し、手洗いが出来ない場所では消毒の実施が必要。また、人が触れるだんじり・神輿・山車・綱などは定期的に消毒を行うことが必要です。

6、集団でだんじりや山車や神輿に集まる・声出しは△。しかし、それがないと祭が出来ないため、密集の際は声出しなし・祭の前の感染症対策をしっかりと実施
祭にもよりますが、だんじりのやりまわしやしこり、神輿は常時集団で担ぐ際には、どうしても密になります。感染症対策の観点からは△なのですが、それが出来ないと祭自体の開催が出来ないので、手洗い・消毒を実施し、集団で集まる際は、声出しをなしにするなどでリスクを下げることは出来ます。屋外で距離を取っての声出しは問題ない範囲です。

7、ギャラリーが多く集まるようなパレード、桟敷席の設置等は禁止。今年の祭はあくまで自分たちのためだけ
祭の醍醐味は、ギャラリーが多く集まる場所で見事なやりまわしやしこりを決めるところにありますが、祭の本質は、地元のみんなでカミに感謝し、五穀豊穣を祈願し、感謝し、恵みを皆でいただくことにあります。そのため、ギャラリーを多く集めるパレードや、桟敷席等の設置をなしとし、自分たちのための祭を実施しましょう。
特に宮入などの狭い場所での集合は、不特定多数の方と密になりやすいので、法被着用者以外の一般観客の観覧を禁止し、出店等の出店もなしとすることが必要です。残念ですが。桟敷席が設置できないと収益に問題が出る場合は、クラウドファウンディングを活用するなどして、今年は別な道で資金集めをする必要があります。

8、食事や飲料提供者の検温や手洗い、消毒の実施
祭には食事や飲み物を提供してくれる当屋(とや:地域により名称は異なる)という担当の方々がいます。それらの方々は町民全員に接する担当なので、特に検温・手洗い・消毒・マスク着用を実施し、年齢の若い方々で構成することが重要です。

9、雨天時の対策は要注意
雨天時は屋根がある公民館等に一気に人が集まります。雨天時の食事は自宅に弁当を持ち帰って喫食するなど、雨天時の休憩場所の検討は非常に重要です。広くて、換気が良い場所の確保が必要です。

10、祭前2週間の風俗店やキャバクラ店等や、不特定多数が声を出して集まるライブハウスやクラブ利用を制限
これは宮沢先生との話では出なかった内容ですが、若い男性が多く集まるので、盛り上がって風俗店を利用したり、キャバクラ店を利用することもあると思います。今年に関しては祭前2週間は不特定多数が集まる場所や、風俗店、キャバクラ店の利用は控えることも重要です

以上が、「コロナウイルス対策をした上で祭を開催する10の方法」でした。宮沢先生とお話して改めて思いましたが、コロナウイルスに限らず、様々な感染症は、対策をしていてもいつかはかかるものです。コロナウイルスに関しては、テレビが過激な報道を続けているせいで、多くの人が誤った認識を持ち、過度に恐れすぎています。きちんとした対策をすること、重症化する人はもうわかっているので、その方々を守る。その対策を行うことが重要になります。宮沢先生は、祭を実施することで多少は感染が出るだろうとお話しされていました。しかし、多くは現在、悪者にされている「夜の街」の方々と同じく、無症状で、重症化することはないだろうとお話しされていました。しっかりとした対策をして、今年も各祭に込められた五穀豊穣・無病息災・子孫繁栄を祈りたいです。今年のような年こそ祭が求められていると思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?