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年末年始、こんな本を読んだ:『訂正する力』

訂正する力』東浩紀(朝日新書)

年末年始くらいは哲学でも読むかと勇みつつ、でもこの時期 朝から晩まで酔っているのでむずかしい話は無理無理〜 な私にぴったりの新書。政治からサブカルまでさまざまな話題が語りおろされ、トーク番組を聞いているみたいだ

この本のテーマ「訂正」は、今までの東さんのコンセプト(「誤配」とか「観光客」とか)に比べると、ストレートで分かりやすい。東さんは、停滞する日本を変革するのは、ブレない姿勢でも、ゼロからの再出発(リセット)でもなく、“過去を「再解釈」し、現在に生き返らせる柔軟な思想”=訂正する力だと訴えます。僕に一番刺さったのは、この力を個人に適用した以下の文章です

では、老いるとはなんでしょうか。それは、若いころの過ちを「訂正」し続けるということです(中略)同じ自分を維持しながら、昔の過ちを少しずつ正していく。それが老いるということです。老いるとは変化することであり、訂正することなのです

「はじめに」より

自分が老いたなと自覚する瞬間が日常にあり、その度ちょっと暗くなっていた私ですが、そうか老いとは変化であり、訂正することなのか。と思うと、なんかちょっと気分が軽くなりました。よーし人生どんどこ訂正しちゃうぞ〜

哲学書なのでウィトゲンシュタインやらルソーやら親鸞と日蓮の比較なんかも出てくるのですが、いずれも興味深い叙述で、リンク先をディグってみたくなります。いずれ「歎異抄」とか「告白」も読んでみたいなあ

2023年10月初版


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