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2021年自民党総裁選所見発表について言いたいこと~その3:岸田文雄編

 岸田議員は、今までの国民を顧みないトップダウンの政治ではなく、国民に耳を傾けるボトムアップ型で進める意識を感じた。また、分断から一体への転換、新自由主義からの脱却、という点が私の中では非常に高評価。
 但し、発言内容のところどころは、もう一段階詳しく話をしてもらいたかった箇所もいくつかあった。

地元で話を聞いたら「政治家はみんな自分のことは言うけど話は聞いてくれない。」と言われた。そこで自分は今の時代に求められているリーダーは自分であると確信した。なぜなら自分は人の話を聞く力があるから。

 今まで、国民を無視した政策をやりすぎた、という今までの政権への批判と反省に基づき、自分は国民の声をしっかり聴く、とアピール。確かにTwitterでも「岸田Box」を立ち上げ、意見を募集し、私も返信をもらった。

国民の声を聴いた結果、生活が苦しい、政治がひどい、だった。
国民の声を聴き、丁寧に話を聞き、多様な意見に寛容な政治が必要であり、自分のやりたいことを押し付ける・自分が正しいと国民をねじ伏せる政治ではない。
一人一人の国民の声に寄り添い、その多様な声を真摯に受け止める。そうした寛容の政治が求められている。

 特に「自分のやりたいことの押し付け」「国民をねじ伏せる」の箇所は2021年9月20日現在総理である菅政権に対する批判である、と私は好印象を受け取った。

保守政治の根本は「寛容の精神」であり、自分も含め不完全な人間のありようを受け入れることである。
先人たちが築いてこられた地域の伝統・慣習・秩序を尊重しながら、様々な意見に耳を傾けつつ、一歩一歩よりよい社会を作ることが保守政治の精神である。

 河野議員と比較しても、そこに新たな価値観を入れ「外国勢力が入り込んでくるんじゃないか」という懸念は全く感じられない。本当に新自由主義やグローバリズムで壊れた社会を修復しよう、という気概を感じる。

今、コロナで疲れ、バラバラになりかけているこの国をワンチームにまとめ、みんなでこの国難を乗り越えていく。

 三浦瑠璃など分断を助長する評論家や議員がいる中で、分断を辞めて国難を乗り越える為にみんなでまとまろう、という点が、新自由主義やグローバリスト、維新の大好きな「小さな政府」ではなく「大きな政府」を目指しているところも個人的に高評価。この国難で度重なる緊急事態宣言で疲弊しているのにどうやって小さな政府でこの状況を救えるわけないだろ、という点も私は大賛成。

私一人では実現できない。でも私の周りには素晴らしい仲間がいる。全国には一生懸命頑張ってくれる党員だけでなく、自民党は人材の宝庫であり、目立たずとも着実に仕事を重ね成果をあげる同僚議員があちこちにいる。

 現在、私が置かれてる立場がまさに同じ。私の政経知識などまだ始めたばかりであるが、Twitterにて色々な優秀な方に優しく教えてもらって、今までの自分の思い違い(政府支出、赤字国債、洗脳された自己責任論等)を修正することができ、かなり間違った道から、まともな人の道に戻してくれた。
 それだけでなく、各政治経済分野で主流派やテレビで喧伝されていることがどのように間違っているか具体的に教えてもらえ、テレビに出る教授や評論家よりずっと優秀な方々が大勢いる。
 この節は、物凄く感情移入して自分の現状と照らしながら共感して聞くことができた。

こういう方たちに光を当て、全員野球でチーム力を発揮することが大きな力となる。そのために「先ず塊より始めよ」として4つの視点から自民党改革を進めていく。

 国民を顧みず、自分の意志を押し通そうとする権力者になびく人ではなく、国民の声を聴いて適切な仕事を確実にこなす、今までは多分日の目を見なかったであろう優秀な方々を積極的にとりあげて、良い方に国の舵を切ってもらいたい、と期待した。

4つの視点その1:新陳代謝
党役員に中堅・若手を大胆に採用し、比例73歳定年制を堅持する。
青年局、女性局の代表を党本部、都道府県連、選対本部の役員に加える。

 菅・二階等の自民党の重鎮が、あまりにも世間ずれした政策をしてきたことに対する不満が爆発している、という印象を受けた。その印象が正しければ、その爆発した不満は自民党の中だけでなく、国民の多くが同じ想いであると推測される。

4つの視点その2:権力の集中と惰性の防止
党役員の任期を明確化し、総裁を除く党役員の任期を一期一年・連続三期までにする。

 コロナ禍の中で、感染拡大を助長してもおかしくないGoToトラベルを二階幹事長が行った。この点もあまりにも重鎮の座にいすぎて権力が集中した党役員に対し、何も言えなくなったことの反省・反発と推測される。

4つの視点その3:地方との連携強化
全国幹事長会議、政調会長会議を月一頻度にてオンラインで実施し、地方の意見を党運営に反映する。
自民党イントラネットを構築し、政策や活動をリアルタイムで全国の組織・議員と共有する。
党員募集・党費納入などの党員との接点のデジタル化を進め、次期総裁選挙はオンライン党員投票実現を目指す。

 連携強化にITインフラ環境を整備する、ということだが、逆に今までやってなかったのか?と。政治規制とか何かあるのかわからないが、動画も比較的難なく送れる回線速度が整備されているのに使わない手はない。
 ちなみに、地方の意見とか、政策や活動のリアルタイム視聴って、自民党員以外でも観られるようにしてもらえないだろうか。

4つの視点その4:政策力強化
毎年の骨太や予算編成を目指した一年ごとの政策立案サイクルに加え、中長期的国家戦略を立案するための仕組みを構築する。
EBPM(Evidence Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)の強化を取り組む。小選挙区制への導入により党の役割が格段強まったにも関わらず、党運営マネジメントの改善は手つかずとなった。
これらを含めた党の運営を近代化する為、自民党版ガバナンス行動検討委員会を設置して外部の意見も聞きながら自民党改革を徹底的に進める。

 EBPMという言葉を今回初めて聞いたのだが、今まで証拠に基づく政策立案をしてこず、各議員の想いで政策立案してたのか、と。そりゃ、若い時代に課題だと思っていて解決の方向を決めていても、月日が経過して課題や解決の方向が違っていたらアサッテの政策立案になるな、と。
 但し、それがどのように「小選挙区制への導入」され「党の役割が格段に強まったが党運営マネジメントの改善には至らなかった」という点は不明。
ガバナンス行動検討委員会を設置する、ということで、改めて「証拠に基づかない立案してたんだな」と。

3つの約束その1:国民の声を丁寧に伺う
自分自身が現場に足を運び直接話を聞く。

 実際総理になったら時間的に無理だとは思うが、先に掲げたネットやTwitterの「#岸田BOX」にて声は拾って頂きたい。

3つの約束その2:個性と多様性を尊重する社会を目指す
若者、高齢者、障がいのある方、女性活躍を進め、性別に関わらず、全ての人が居場所を見つけ生きがいを感じられる社会を目指す。

 多様性の尊重は他の議員も連呼してるんだけど、具体的にどうやって実現するのかが見えない。具体性がもう少し欲しい。

3つの約束その3:みんなで助け合う社会
自助の精神は大切だが、人は一人では生きていけない。デジタル化が進む現代だからこそ、人の温かさが感じられる社会を目指す。

 ここもちょっと話が抽象的なので、具体性がもう少しほしい。どうやって何を実現したいのか見えてこない。

国民の生活を守り国民の所得を増やす3つの政策その1:コロナ対策
コロナとの戦いには国民の皆さんの協力が必要不可欠。
そのためには政府方針に対する納得感が不可欠。
方針の内容、必要性、決定に至るまでのプロセス、これらを自ら丁寧に説明する。

 先に掲げた「3つの約束」の具体性が見えないのだが、果たして、方針に対する丁寧な説明にて具体的に納得感のいく説明が聞けるのか疑問である。

危機管理の要諦は最悪の事態を想定する。「多分よくなるだろう」ではコロ
ナを克服できない。常に最悪の事態に備えながら対策を講じていく。

 「多分よくなるだろう」に対する批判は、感染者数が下がったところで緊急事態宣言を解除してはまた増やす、というスガ政権の愚策中の愚策の批判、だと私はとらえている。

当面の目標は「withコロナ」を前提に季節性インフルエンザと同様、従来の医療提供体制の中で対応可能なものとし、通常に近い経済活動を一日も早く取り戻す。
病床、医療人材の確保、徹底した人流抑制とそのための数十兆円規模の経済対策、ワクチン接種促進、治療薬の開発・普及、等の対策を全体像を示しながら実行していく。

 季節性インフルエンザと同様、という表現については、コロナを指定感染症2類から5類に下げる議論を意識しての発言であろうと推測される。
しかし、先日観た報道にて、岸田議員は、「5類に落とした後、凶悪に変異した場合戻すのが難しいから、格下げについては慎重を要す」と話していた。
 それならば、ここでいう、「従来の医療提供体制の中で対応可能なものにする」とは具体的にどういうことなのか、という疑問が残った。というのは、「病床、医療人材の確保~全体像を示しながら実行していく」の箇所は、殆ど今までの流れと変わらないからである。もし変更点があるとすれば、今まで以上に積極的に政府支出を増やす、と期待してよいのだろうか。

経済対策については、非正規、女性、子育て世代、学生等、コロナで困窮した方々、自粛協力頂いている事業者の方々、米価下落に苦しんでいる農家の方々へのきめ細やかな対応をしていく。

 「きめ細やかな対応」というのもやはり抽象的で具体性が見えにくい。具体的に何をどうやっていくのだろうか疑問が残る。

その上で、感染症時代を迎えた今、将来の感染症危機にも備えた法改正、そして、司令塔機能を持つ健康危機管理庁の設置に取り組む。

 現行法・現行の庁舎では対応できない箇所がどこで、だから変える・親設置する、という説明が欲しかった。この件は自分も直接Twitterで「#岸田BOX」にて聞いた話なので、具体的に知りたかった点になる。

国民の生活を守り国民の所得を増やす3つの政策その2:新しい資本主義の構築
新自由主義的政策を転換致します!
市場や民間に任せればいい、という時代は終わりました。

 私が現時点で岸田氏を推したくなる一番のキモはここ。日本における、多くの人たちの不遇の根本はここが全ての端を発していると私は強く考えています。

国と民間が共同し、産業を興し、守り、国民生活を豊かにする、という経済が求められている。
新自由主義政策は成長をもたらしたが、一方で富める者と富まざる者の分断が生じている。また、コロナによって格差が更に拡大した。
今から、今こそ、成長と分断の好循環による新しい日本型の資本主義を構築し、全国津々浦々、全ての皆さんに成長の果実を実感して頂く時。

 民間だけに任せたのでは国が発展しない。だから「国と民間が共同」というところも大いに同意する。IT分野で言うとクラウドやSNSなどは、殆ど全て外国産だが、あれは土地代、建物代、電気代、通信費が莫大にかかるので、国の補助がないとまず難しい。是非、国が政府支出して、ITだけでなく、様々な分野の国産回帰を進めてもらいたい。
 ただ、気になるのが「成長と分断の好循環」という箇所。ここ「分断」じゃなくて「分配」の間違い?「#岸田BOX」で聞いてみます。

成長については民間への投資を大胆に支援する。産学官連携による科学技術とイノベーションを政策の中心に据える。
科学技術が生み出したシーズ?が海外でなく、国内で産業化できるようスタートアップの徹底支援などを通じて新たなビジネス・産業を創出する。

 シーズ?といのは「種:seeds」ということなのかな?と。使い慣れない・聞きなれない横文字が出てきたので迷ってるが文脈的に多分合ってるであろう(笑)
 また、折角日本で生み出した技術が、「海外の方が安いから」という理由で、日本国内で生産できず今回のコロナ禍で思い知らされたのが、治療薬になりえる、と注目されているアビガンとイベルメクチンであり、その治療薬や自国でワクチンが製造できない反省点も視野に入れての「大胆支援」なのだと解釈した。更に、それが新たな雇用を生む可能性もあるので、期待したい。

分配については、まず民間における分配を強化する。
最近の日本企業を見ていると、利益が出ても賃上げは充分に行わず、配当を増やす等、短期的な利益を追求している。
企業が長期的な視点に立ち、株主のみならず多くの関係者を大事にする三方良しの経営ができるようになるよう四半期開示の見直しなど、基本的なルールの見直しを検討する。

 出だしは、「これぞまさに反・新自由主義」で大いに賛同できる。しかし、その後の「株主のみならず三方良しの経営」とあるが、全方位に忖度しているようで、どのように実現するのか疑問が残る。
また、三方良しとするには、四半期開示を見直して、少なくとも株主は「良し」とならないのでは?と。
 これを実現するいいアイデアがあるのであれば聞いてみたい。ないのならただの八方美人で終わることになる。

こうした民間における取組を補完するのが公的分配となる。
中間層拡大に向け分配機能を強化し、所得を引き上げる「令和版所得倍増」を目指す。
例えば、子育て世代の大きな負担になってる住居費・教育費への支援強化していく。
民間に賃上げを求める以上、国も努力しなければならない。賃金が公的にきまる看護士、保育士、介護士の方々については、公的価格を見直し、収入を思い切って引き上げる。

 内容としては歓迎するのだが、以前、池戸万作氏に「国がベーシック・インカムを施行した場合、従業員の給与を減らすか」というアンケートを経営者約600名にとってもらったが、2割以上が「一部もしくは全額減らす」と回答した。他にも「本心は従業員の給与を上げたいが、現実的に減らさざるを得ない」という個別の回答を経営者からもらった。
 果たして、国が生活費支援・給与の公的価格を引き上げた時に、経営層はどのような反応をするのか懸念が残る。

成長の果実を地方に大胆に分配する。
「新しい資本主義」の象徴は地方。5Gをはじめとするデジタルインフラ整備を進め、都市と地方の物理的距離を乗り越える、「デジタル田園都市国家構想」を実現する。

 「新しい資本主義」の象徴が何故地方なのか。民間に任せて成長する時代は終わった、というのならば、疲弊している地方は当然ながら、都心にも疲弊している人たちは数多くいる。「ワンチーム」という標語を掲げるのであれば、そして、「都市と地方の物理的距離を乗り越える」のならば、分断しない流れて進めてもらいたい。

田園都市国家を支え、国際競争力を維持する交通・物流インフラを整備するとともに、災害に強い地域づくり、東日本大震災からの復興を進める。

 インフラ及び国土強靭化は是非進めてもらいたい。東日本大震災の爪後はまだ残る地域もある上、毎年起こる西日本の水害対策も進めて頂きたい。

地域に寄り添い、現場を重視した多様な豊かさをもつ農業・農村をを実現する。多面的機能の維持や食料安全保障の観点から中小家族農業や中山間地農業の支援強化とともに、米をはじめ、国産農畜産物の需給価格の安定等、農業者の所得向上に向けて政策を総動員する。

 農業における「多面的機能の維持」とは何を指すのかわからなかったが、同じく初めて聞いた「中山間地農業」を調べて、それは「山間地に作った農地である為、農地の土が斜面を下って流出しないようにする機能」ということと判明した。日本は山地が多く、そのような山の斜面を農地としていることが多いので、その損壊を防ぐ様々な機能、ということらしい。
 ただ、ここでも「具体的にどうするのだろう」という疑問は残った。

国民の生活を守り国民の所得を増やす3つの政策その3:国民を守り抜く外交・安全保障
世界と日本の平和を断固守り抜いていくために3つの覚悟を以て臨む。
覚悟1:自由・民主主義・人権・法の支配といった基本的な価値を守り抜く
権威主義的体制が勢いを増す中、台湾海峡などの課題に米国・欧州・印度・豪州・台湾の基本的価値を共有する国・地域と共に毅然と対応していく。

 「勢いを増している権威主義的体制」ってどこだろう?と思ったが、「自由~法の支配といった基本的価値」という言葉と、「米・欧・印・豪・台」との連携、という発言で、それが中国だとわかった。

覚悟2:我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜く
海上保安庁の能力強化、自衛隊との連携強化、ミサイル防衛力の強化、国家安全保障戦略の改訂、インテリジェンス機能の充実などに全力で取り組む。

 海上保安庁の能力強化、については、毎日尖閣諸島にやってきて挑発する中国船を意識しての発言だと思われる。他に、他国の漁業水域に平気で入ってきて海産物とっていく中国漁船。
 ただし、ここで漁船を追い払ったら、本国が陸・空で仕返しにくるので、そこで「自衛隊との連携強化」「ミサイル防衛力強化」「安全保障戦略改訂」となったのか、と推測。また、それには確かにインテリジェンス機能を強くしないとどうしょうもない、というのも納得した。

覚悟3:地球規模課題で人類に貢献する
温暖化、核廃絶、宇宙・海洋の開発利用、防災等の課題でリーダーシップを発揮していく。

 時間が押している、というのもあったのだろうが、この点については、誰に対してリーダーシップを発揮して課題を解決していくのが、具体的にどう解決していくのか聞きたかった。

この3つの政策を以て、国民が一体感を実感できる国をつくっていく。
1.コロナ対策においては国民の皆様に協力をお願いする
2.日本型資本主義においては格差に向き合い、多くの方の所得を引き上げる
3.外交安全保障政策においては国民の皆様の命や暮らしを守る

 分断から一体へ、という点は評価できる姿勢だと同意。分断されていては、今まで通り、レント・シーカーや新自由主義者・グローバリストたちの思う壺である。

各候補者へのリンク:

河野太郎編
高市早苗編
野田聖子編

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