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日曜の朝、駅での出来事

不思議な光景を見た。


それは日曜の朝6時過ぎの千代田線代々木公園駅ホームでのこと。

1人の男性がベンチに座っていた。30歳前後くらいだろうか。黒を基調としたコーディネートで、どことなく暗い雰囲気を纏っている方だった。

私がエスカレーターを降りホームに到着した時、彼は丸首の襟から手を中に突っ込んで何かをしていた。取り出された手には、紫色の香水ボトルのようなものが収まっていた。

彼の前を通過する時、私はそれがLANVINのEclat d'arpègeであることを確認した。100mlのボトルのように見受けられた。

そもそもそんな大きな香水ボトルを持ち歩くだけでも邪魔になりそうなものだが、それだけではなかった。少し離れたところから彼を観察していると、彼はバッグからプラスチック製の透明な箱のようなものを取り出した。その香水が販売されていた時のパッケージなのだろう、底には香水ボトルの球体部分を支える台座があり、また上には円筒形のキャップ部分にぴったりはまりそうな円形のパーツがついていた。上と下で降水瓶を挟み込み、固定する構造だった。

彼はEclat d'arpègeをその透明なケースにしまい、そのケースを目線の高さまで持ち上げてからためつすがめつ眺めていた。それは電車がホームに入ってくるまで続けられた。


この光景は、私を混乱させた。そもそも100ミリのボトルを持ち歩くだけでも面倒であるはずなのに、それよりもさらに大きなケースまでバッグに入れていたのだ。「買ったばかりで今開封したところなのかも」とも思ったが、早朝6時でそれはないだろう。彼はあの“セット”を持ち歩いているのだ。

何のために…?

単純に彼にとって大切なものだからケースごと持ち運んでいたのだろうか。あまりにも仰々しくはないだろうか。それに、もし本当に大切なものだったら、駅のホームで取り出して使用するだろうか。

あれこれ考えてみてはいるものの、ケースと一緒に持ち歩いていることへのそれらしい説明はこれといって思いつかなかった。そこにはとても複雑な理由があるのかもしれないし、あるいは至極単純な動機でしかない可能性も否定できない。


特にこれといってオチがある話というわけではないのだが、昨日からずっと気になっている。その光景にはある種の異様さがありながら、どことなく切ないもののようにも感じられたのだ。

日曜の朝のほんの一瞬の出来事だったが、忘れられないものとなっている。いずれにしても、Eclat d'arpègeによって、彼が素敵な1日を過ごせていることを祈るばかりだ。


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