安物買いの銭失い vs. 腐っても鯛
私の父は、「安物買いの銭失い」を「絵に描いたような」という表現を通り越し、映画化までしてしまって全米を泣かせたような人だ。
とにかく、セール品に目がない。「値下げされている」という事実が彼を興奮させるようだ。
彼の頭の中ではきっと、
値下げされている
↓
本来の値段よりも安い値段でモノが手に入る
↓
値下げ価格分得をしている
という発想なのだと思う。手に入る商品が必要かどうか、ということには興味がなく、値下げ分だけ自分は得をしている、という発想だ。なんと浅ましい…
さらにタチの悪いことに、買い物好きときている。たまったものではない。
容易に想像がつくことではあるが、こういった発想をもっている人にとってのパラダイスは、「リサイクルショップ」である。
理由は単純、リサイクルショップが一番、元々の定価と売価のギャップが大きいからである。
近所にあるリサイクルショップにて、サイズもロクに見ずにコートやらスーツやらを頻繁に買ってくる。買ってくるわりに、それらを着ているところはほとんど目にしない。
ある日、例によって近所のリサイクルショップで、グレーのダブルのジャケットを買ってきた。
丈は長めでダブル、かなり古いものだと思われた。
裏地を見ると、なんとChristian Diorのタグがついている。確かに形はかなり古いが、生地にはしっかりとハリがあり、袖を通してみるときちんとしたものであることがよくわかる。さすがDior、まさに「腐っても鯛」。
「裕太、結構似合ってるよ。」
母親に言われたので、どうせ買ってきた張本人が着ることはないのだろうし、いつか私が着てみよう、と思っていた。
ということで、今日は雨も降っているし、仕事でオフィスまで行かなければならなかったが誰と会う予定もなかったので、その「いつか」が今日になった。
さて、着丈の長いダブルのジャケット、何と合わせよう…と迷った末、ヨウジヤマモトの袴のようなパンツに、黒のタートルネックのニットで合わせることにした。足元は黒のJordan 11。
着心地は悪くない。サイズも不思議とバッチリ。
多分コーディネートとしては、アリだったと思う。
が、どうもテンションが上がらない。自分で選んだ服ではないというのも気分が乗らない1つの理由だろうが、それ以上に、なんというか、その服自体が「疲れ切っている」ような印象を受けたのだ。
もう今後、このジャケットを着ることはないだろう。
私は、中古品を買うことも、また自分が使っていたものを中古品として売ることも、とてもとても苦手だし、ほとんどしたことがない。自分が使わなくなったものは、売るのではなくあげたい派であるし、他人が使っていたものを譲り受ける場合は、最低でも誰が使っていたかわからないと、どうも落ち着かない。
なぜそれが苦手なのか、今日少しだけわかった気がする。
モノは私に力を与えてくれる。だから私は、モノを買うときはとても真剣になる。
中古品は、そのモノがもつ力が、半減、もしくはなくなってしまっているように感じられる。前の持ち主に使われたのだから、当然である。
そして、私自身も、私が使い、エネルギーが減ってしまったものを、誰かに売るということに、後ろめたさを感じているのかもしれない。疲れ切ったモノが、誰かのためにまた1から働かなければならないというのは、なんだか“かわいそう”だ。
こういう考え方は、きっと時代錯誤なのだろうが、そういう性分なので、しょうがない。
その分、買ったものは、責任を持ってしっかり愛おしもうと思う。それが私にできること。
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