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香水の名前

香水の名前も、ブランド名と同様、あまり重要だと思わなかった。正直に言ってしまうと、名前なんてなくて良いじゃないか、とすら考えていた。

香水の名前は、ブランド名とはまた別の問題を孕んでいる。

香水の世界には、様々な規制があり、さらにそれらの規制が頻繁に変更される。当然、変更後の規制に対応するために、香水の処方はわりと頻繁に見直される。調香師は変更後も同じ香りになるように努めるが、当然使用されている香料が違うので、全く同じ香りになるということはない。

それを何のアナウンスもなしに、変更前と同じ名前で販売するというのは、見方によっては不誠実だ。少なくとも私にはそのように思われる。

実際にどのブランドもこのような対応をしているので、「そういう商習慣なのです」と言われればそれまでだし、それ自体を責めるつもりはない(ニッチフレグランスブランドの中でいくつか変更のアナウンスをするところがあるが、それも数える程度しかない)。

ただ、私がその商慣習に倣いたいかと聞かれると、それはまた別の話だ。処方の変更を消費者にわかる形で提示できる、何か良いアイディアはないか…と考えていた。

そこで、私は、試作品作成時に使っていた番号を、そのまま香水名にすることにした。

例えば、今回リリースする4本のうちの1本に、“1-24”という香水がある。これは、1という種類の香りの、24番目の試作品であることを意味している。24回の試作を重ねて、“今のところの完成”に到達した。

もし規制の変更によって、処方を見直す必要が出たとして。

まずは試作品1-25を作成し、そこから1-26、1-27と試作品を重ねていく。そして、1-32で規制の変更に対応した、新しい“1-24”が完成したとしよう。

そうしたら、それ以降“1-24”という香水は、“1-32”として生まれ変わり、“1-32”という名の下販売される。

もちろん、この説明を聞いた上でにはなるが、消費者は“1-32”という香水は、1という種類の香りと同じ系統で、“1-24”から若干処方が変更されていることを知ることができる。また、仮に処方の変更は必要でなくとも、私自身が現在の“1-24”の処方を変えたいと思ったら、試作品を重ね、満足のいったところで改めて“1-…”の名前で変更後の香水を発売することもできる。

この判断が本当に正しいものなのかはわからないが、今のところはçanomaの香水名はこのような形にしよう、と思っている。

とにかく今は、いったん私自身が“正しい”と思う形でブランドをローンチしようと思っている。それがマーケティング戦略的に間違っていようが構わない。必要ならまたすぐに変更すれば良い。せっかく自分のブランドを持つわけだから、いったんは私が思い描くブランドを作らないと、ね。

さて、今日8月8日の日本時間20時〜22時、京都の香水店『ルシヤージュ』さん主宰のインスタライブに登壇します。お時間のある方はぜひ見てください!下記2つのInstagramアカウントのフォローをよろしくお願いいたします。

@lesillage_kyoto

@canoma_parfum

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