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鬱になってしまった博士課程からエンタメ企業へ―2021年を振り返って

あけましておめでとうございます🎉 2022年となりました。2022は2×3×337と素因数分解でき、楔数(3つの素数の積)となるそうです。

昨年は生活環境が大きく変わった人生の転機の年となりました。奈良先端大にて博士課程(工学)を修了し、株式会社KADOKAWA Connectedの新卒第1期生として社会人デビューしました。

うだうだと長く学生生活を続けていたので社会に出て生きていけるのか心配でしたが、今はなんやかんや適合できて楽しく過ごせています。

そんなこともあり個人的に転機となった2021年でしたが、ざっとその振り返りをしていきたいと思います。

博士課程の病みと修了

2021年は博士後期課程に進学してから3年目という最後の年でした。私の専攻は情報工学でその中でもUbiquitous Computing、Pervasive Computingが専門でした。

そもそも、なぜ博士課程に進んだのかというと研究が好きなのもありましたが、主に

  • やりたいことが特になかった

  • ITエンジニアとしては食べていける自信があった

という理由からきています。単なるモラトリアム人間です。

さて、1〜3月の3か月間は公聴会や最終試問、論文の修正を主にやっていました。これまでの成果をまとめる作業でしたので、忙しくはなかったです。全ての発表はオンライン上でしたので緊張感もなかったり。

ただ、博士課程全体で見ると研究らしい研究はできませんでした。理由は単純で、メンタルがやられたからです。

博士でメンタルやらかすのはあるある話です。世界的に見ても3割程度のPhDの学生は鬱・不安を訴えています [1]。

幸いにも私には修士課程の業績が残っていて、論文誌、国際会議への採択という博士課程修了の要件が満たせていました。それに加えて、進学時点で奨学金の免除も内定していたので金銭的な不安もありませんでした。

逆にいえばその業績がなければ今頃廃人となっていたでしょう。過去の自分に感謝です。

では、なぜメンタルをやらかしたのかというと、お仕事を詰め込み過ぎてパンクしたのが原因です。博士課程の初めの頃に、研究、会社の案件、海外留学、イベントの運営と多くのことが重なっていました。

もう少し根本的なことを言うと、モチベーションを持ってタスクをこなせられなかったのが良くありませんでした。モチベーションが沸かないことにも何となく手を出して、突っ走って、気がづけば疲弊してという典型的なやらかしパターンです。

復帰するまではたくさんの方に心配とご迷惑をおかけしました🙇 気にかけてくださった方々、本当に感謝しています。

そんなことがあり2年ほどはお休みしていました。

お休み中は、スプラトゥーン極めたり、ダイビングを始めたり、ゲーム開発を手伝ったり、小説を書いたり読んだりと好きなことができました。

時間はたくさんあったので 何がやりたいのか? どういうことにモチベーションが沸くのか? を十分に考えられて、自分を見つめ直せました。

この期間中にエンタメコンテンツの面白さと魅力を再認識して、どうせ働くなら間接的にでも関わりたいと思ったからこそKADOKAWAグループの会社にエントリーしたという経緯があります。

いざ、社会人に

さて、こうして株式会社KADOKAWA Connected(以下、KDX)に入社することになりました。KDXは2019年に立ち上がったばかりの新しい会社で、KADOKAWAグループのDXの推進が主となっています。なんと私たちの世代が第1期生だったりします。

2020年にKADOKAWAは埼玉県所沢市にところざわサクラタウンという大型施設をオープンしました。

角川武蔵野ミュージアム

施設内にオフィスもあるとのことで、奈良から引っ越して住まいは所沢近辺に構えました。ほとんどリモートワークかなと想定して広めの部屋を借りたのですが正解でした。この近辺は家賃が安くて良いです(都心へは1時間かかりますが。。。)

ちなみにサクラタウンへの出社は2回だけでした。今年は多く利用したいところです。

さて、入社してからの3ヶ月間の4~6月は新卒研修を受けていました。内容としては、

  • 会社の事業・制度、ビジネス教養に関する「非技術研修」

  • プログラミング、インターネット通信、仮想化技術に関する「技術研修」

  • アジャイル開発でWebアプリをチームで開発する「チーム開発研修」

の3つの体系で行われました。

基本的にはフルリモートで行われましたが、オフィスや施設の見学も研修内容に含んでおり、楽しみながら学習できました。会社の初めての新入社員ということで研修内容を準備するのに、先輩社員の方々がたくさんの労力をかけて下さっていました。本当に感謝です。

研修の詳細は社内ブログで紹介されているので興味があれば覗いてみてください。

そして部署配属

研修後は本格的な業務開始です。 

配属に関しては、もともと研究をやっていて機械学習・データマイニング・統計のスキルがあるからか、データを扱う部署へ提案頂いたのですが、

  • KADOKAWAの本事業に近い業務(モチベーションの観点)

  • 複数の組織が関わっていて調整する能力を身につけられる業務(ソフトスキルの観点)

をしたいと伝えたところ、システム開発の部署に配属されました。細かいことは伏せますが、プロジェクトとしては社内システムがメインとなります。

IT技術の基礎は身についていると思うので、会社の仕組み・業務フロー・内部統制、出版業界のドメイン知識、他の組織とのコミュニケーション方法、テクニカルライティングなど、IT技術以外を学ぶことにモチベーションを持って日々業務しています。

もちろんIT技術も学んでいまして、どんなシステムでも使われているRDBの知識と技術を固めているところです。RDBだったらどんなことでも質の高い仕事ができるところまで持っていきたいと意気込んでいます。

今年やりたいことリスト

年始めは目標を立てるのも良いですが、私の場合は興味がコロコロ変わってしまって大抵うまくいかないので、やりたいことをリストアップしてみます。

何かしらの技術コミュニティに露出する

どこかしらの技術コミュニティに参加・貢献して他企業の技術者とも仲良くなりたいなと考えています。好きな技術とかは特にないので、DBMSとかデータとか仮想環境とか業務で触れている技術に関連したコミュニティに顔を出したいなと。

創作活動

コンテンツを生み出すことの特有の楽しさは知っているのですが、2021年はなにも活動できなかったので今年は創作したいなとぼんやり考えています。ゲームのスクリプト開発とかはしていますが、お手伝いの立ち位置で創作活動かと言われると微妙なので、やはり自分主体でコンテンツを生み出したいですね。

新しい研究分野の開拓

論文を読んだりするのはやっぱり好きなのでどこかの研究分野について詳しくなりたいなと考えています。エンタメコンテンツに惹かれていることもあり、創作すること、それを消費することに関する社会学・心理学辺りに目を付けています。工学よりの内容だったらエンタメコンテンツの新しい表現方法とか興味ありますね。まだどんな研究領域があるのか下調べもしていないので、もし心当たりがあれば教えてくださると嬉しいです。

哲学を知る

自分なりの哲学を持っている人は人間的に深いと感じることがあって、私もそんな人がうらやましいと思うようになりました。これまではロジカルな世界で生きてきて、その考えが染みついているせいか自分自身に面白みが無いように感じます。まったく哲学的な思想がないという訳ではないですが、世の中にどのような哲学があるのか、それを知ったとき自分にどう影響するのか興味があります。

終わりに

ということで一年の振り返りと今年やりたいことでした。

社会人としてやっていけるのかが不安で、そこが無事っぽいことにホッとしています。

今年も楽しく過ごせるといいな~

参考文献

[1] The mental health of PhD researchers demands urgent attention. Nature. 2019 Nov;575(7782):257-258. doi: 10.1038/d41586-019-03489-1.


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