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2021年に心に残った本10選

今年も師走がやってきますね。毎年勝手に恒例にしている、その年の心に残った本10選を紹介します。年末年始の読書の参考になったら嬉しいです。

ちなみに、昨年版がこちらです。もしよかったらついでにぜひ。


お察しの通り、半期に1回ちゃんとやろうと思っていたのに、上半期は忙しすぎてさぼってしまいました。笑。ネタバレは避けてますが、もしかしたら多少内容に触れてしまうかもです。

1. 赤と青とエスキース

2021年も良い読書で終わったなーと思った時に出会ったこの作品。エスキースとは下絵なのですが、デッサンとは違い本番の絵を必ず完成させるという意志がある、そんな作品のタイトルなのですが、買って2時間30分で読み終えてしまいました。

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メルボルンの若手画家が描いた一枚の「絵画(エスキース)」。
日本へ渡って三十数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく――。二度読み必至! 仕掛けに満ちた傑作連作短篇。

読みやすさ、読後感の爽快さはピカイチなのでぜひ読んでみて貰えると。『お探し物は図書室まで』もそうでしたが、ハートウォーミングな気持ちになりたい時にとてもおすすめの一冊です。

一番心に残っているフレーズは、『私はね、人生は何度もあるって、そう思うの。どこからでも、どんなふうにでも、新しく始めることができるって。そっちの考え方の方が好き。』って所ですね。

人生に詰まった時や、ふと今後の人生を思い悩む時に後押ししてくれたり、まだまだやれるよって応援してくれそうな一言です。

一番最後に行った海外が、この本の舞台でもあるメルボルンでしたが、本当に最高で、カフェとワイナリーと本に囲まれる素敵な都市でした。また海外行きたいです。。

2. カード師

中村文則さんの2021年に出した長編作品。中盤の全財産を賭けたポーカー対決は『あー、カジノロワイヤル始まったかなー?』と思わせるようなスリリングさ。007のNo Time To Dieも今年公開でしたが、ダニエル・クレイグお疲れ様!って感じの素敵な作品でしたね。

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占いを信じていない占い師であり、違法カジノのディーラーでもある僕に舞い込んだ、ある組織からの指令。それは冷酷な資産家の顧問占い師となることだった──。国内外から新作を待望される著者が描き切った、理不尽を超えるための強き光。新たな代表作、誕生!

中村文則さんの作品と言うと、背景への取材がめちゃくちゃ細かく、心理描写も丁寧なのですが、この作品の心理描写と展開量の多さ、そして現在のコロナへのリンクは圧巻でした。

もう一個中村文則さんの作品にあふれているのが、理不尽なことが起こっても人生を歩んでいこうと後押ししてくれる暖かさ。今回の作品でも存分にあふれてます。

3. 習得への情熱

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ここから若干趣向が変わります。『ボビーフィッシャーを探して』という映画が好きで出会ったこの作品。元々チェスの神童であった筆者が武術の達人となっていくまでの過程から、習得へのエッセンスを共有してくれます。

かつてチェスの“神童”と呼ばれ、長じて卓越した武術家(太極拳推手の世界選手権覇者にして、黒帯の柔術家)となった著者が、トップクラスの競技者になるためのart of learning(習得の技法)を語る。技能を倦まず開墾し続け、競技者としては千人に一人、あるいはそれ以上の領域を目指す、「超」能動的な学習術である。

小さな円を描くという発想は、思っていたことを言語化してくれました。武術において大技を目指すのではなく、シンプルな技から本質を身に着け、ジャブの様なごくわずかな動作で効率的に攻撃する技に昇華させていく。目に見える大きな動きを1モーションずつ絞っていく。

負の投資という、「成長するため、成功しているとしても、今持っている考えを捨てる必要がある」というのも印象に残っている言葉。一見成長しているように見えても、常に自分を再構成するというのは、意識して落とし込まないと改めて認識した次第。

4. 最高の脳の使い方

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脳とパフォーマンスにフォーカスしてくれている1冊。学術的に裏打ちされているうえで、ビジネス的な実際のユースケースだとどうするかまで提案してくれている本当に読みやすい本(長いのはご愛敬)

■2つの認知課題に同時に取り組むと、だれしも8歳位のレベルになる。
■常にメールの送受信をしていると、IQは平均10下がる
 絶え間なく脳が注意の機能をオンにしてしまっている
■脳の働きを下げない対応策
 ①行動を無意識にできるようにする(IF Thenの流れ)→ルーティン化
 ②考えられる最適な順序で情報を整理する
  予め、順序を組み立てて、意思決定待ちをなくす
 ③注意の向け方を組み合わせる
  限られた時間だけ、携帯の電源を入れるなど
■マルチタスクは2つ一遍にやっている訳ではなく、作業から作業に注意を切り替えているだけである

全10章あるうちの、1章分(第3章)の学びメモから取ってきているのですが、結構1章分だけでも仕事の進め方が変わる位のインパクトでした。あんまりビジネス書系は読まないのですが、この本はとても学び大きく、楽しく読めました。

5. バイバイブラックバード

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伊坂幸太郎さんの作品は毎日とか毎週読んでいる訳ではないのですが、ふと思い出した時に読みたくなる、そんな得体のしれない魅力のある文体です。5股をかけているのに憎めない主人公、そして巨大な体を持つヒロインと言いますかパートナー。キャラ構成からストーリー展開まで、『あー、伊坂さんの作品読んでるわー』って思えるとても読みやすい1冊です。

星野一彦の最後の願いは何者かに“あのバス”で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」―これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。


6. クスノキの番人

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その木に祈れば、願いが叶うと言われているクスノキ。その番人を任された青年と、クスノキのもとへ祈念に訪れる人々の織りなす物語。

東野圭吾さんのカバー範囲強い。。。と改めて思わせてくれる作品。『時生』や『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の様なエンターテイメント作品で、辻村深月さんみたいなファンタジー要素満載の作品。

クスノキの木を通して大切な人へ想いを伝える、改めて周りの人への感謝を思い起こされるような、ほっこり作品でした。

7. 正欲

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朝井リョウさんの作品ですが、相変わらず本当にすごい作品書くなと思わせてくれる作品。人の感情をリアリティを持って伝えてくれるストレートな一冊。

お気に入りのフレーズはこちら。『きっとこの世界は、自分はまとも側の岸にいる、これからもずっとそこにいられると信じている人による規制が強まる方向に進むのだから。』。

多様性という言葉で括られず、一人一人の人生観を改めて見つめざるを得ないという、力強い一冊。

8. 本心

平野啓一郎さんのまた力強い新作を選んでしまいました。『マチネの終わりに』・『ある男』もよかったですが、今回の作品もとても素敵なものでした。

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【あらすじ】
舞台は、「自由死」が合法化された近未来の日本。最新技術を使い、生前そっくりの母を再生させた息子は、「自由死」を望んだ母の、<本心>を探ろうとする。
母の友人だった女性、かつて交際関係のあった老作家…。それらの人たちから語られる、まったく知らなかった母のもう一つの顔。
さらには、母が自分に隠していた衝撃の事実を知る── 。

平野さんの作品に溢れている、過去は解釈し直すことでいくらでも変えられるというストーリーが感じられる1冊です。

9. 週末は彼女たちのもの

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島本理生さんの作品はあんまり読んでこなかったのですが、たまたま手に取ったこの本を皮切りに結構読んでしまいました。。。今年読んだもので言うと、『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』・『夏の裁断』・『君が降る日』・『夜はおしまい』・『クローバー』とかでした。(結構読んでた笑)

いつでも、どこででも恋は生まれる。臆病なあなたに贈る、人を好きになることのときめきと切なさに溢れた恋愛小説。

って説明文なのですが、本当にその通り。(説明さぼりました笑)

仕事が忙しい時にサクッと読めるのもおすすめポイントなのですが、どのキャラクターも輝いていて素敵な作品でした。

心に残っているフレーズは、『自分が撮ることはしないけどね。~~。写真を撮ることに集中すると、それ以外の記憶がぼやけるから。記録しなくていいから、好きなように記憶したい。』。ちゃんと目の前のことに集中したくなる良いフレーズ。

10. 常設展示室

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美術館に行く前には、原田マハさんの作品を読んでから行きたい気になるのって私だけですかね?6枚の絵画・美術館・それぞれの人の人生を紡いでくれる素敵な物語です。

人生過ごしている時にターニングポイントになる絵だったり、ずっと見ていても飽きない絵ってあると思います。読むと、普段行かないような新しい美術館に行きたくなる、そんな1冊です。

コラム

良い作品に出合うために心掛けている方法を4つ紹介したいと思います。

(A) 待ち合わせとかで余裕あったら町の本屋さんに10分立ち寄る

町の本屋さんには、売れ筋のコーナーとは別に書店員の人が書評を書いて紹介しているコーナーが絶対あったりします。なので、読書のプロである人たちの紹介を読んで、買ってみると、自分の知らない作家さんとの出会いがあって小さいな幸せもらえたりします。

(B) 周囲のおすすめ本は3秒で一回買う

仲良い人の人生おすすめ本とかは一旦3秒で買います。もちろん、合う合わないもあるのですが、結構この人波長合うなって人のおすすめの本とか読むと、やっぱり得られるものが多かったりします。

(C) 趣向の合うブロガーさんを見つける

良い本だったなーって時に、その自分の良いなって想いに近い所を表現しているブロガーさんとかの、紹介本を辿るのは結構やります。本の読んだ読後感とかで言語化上手いなーってシンプルに感動する時もありますが、お、もっとよさげな本ありそうって気づくのも良いです。

(D) 自分もアウトプットする

このNoteもそうなのですが、自分でよかったものをアウトプットするのも大事にしてます。誰かがおすすめの本紹介してくれたり、自分の中の思考が整理できたり、本当に良いことづくめなので、やるのおすすめです。(難点は普通に時間かかることww)

どうだったでしょうか?年末に向けての読書の参考になったら幸いです。



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