BtoBプロダクトにおいて、うまくエンジニアを巻き込み、顧客理解を促進した話

みなさんこんにちは。株式会社リンクアンドモチベーションで
モチベーションクラウドのUX/UIデザインを担当しているmizoです。

今回はチーム内で、エンジニアを巻き込み顧客理解の促進を行ってきた話をまとめようと思います。開発に携わる全員が同じレベルで顧客理解をすることは重要だが実際やるのは難しい、何から始めようと悩んでいる方に少しでも参考になれば幸いです。

チーム全員が「同時」に顧客理解を進めることは難しい

こんな状況あるあるじゃないですか？PdMやデザイナーがユーザーインタビュー等を行い要求整理・要件定義を行う。その間エンジニアはひとつ前のプロジェクトの開発/テストを行っている。エンジニアが本格的に合流する頃には、開発内容に対する顧客理解のレベルに大きな差ができている。

弊社でも、このような状況はよくあります。体制面や役割上このようになってしまうのは避けられないのかもしれません。少しでもエンジニアに顧客理解を進めてもらいたく、ドキュメントなどを残そうとしたこともありますが、中間製作物にかける時間が増すばかりでスピード感がガクンと下がってしまいました。とはいえ、よーいどんで要求整理からみんなで行うのも非常に効率が悪いのです。多くの仮説の検証があり、行ったり来たりを繰り返しているため、ある程度開発内容の方向性が見えてきたタイミングでエンジニアが合流してくるのは必然なのかもしれません。

具体的にどんなことをしてきたのか

インタビューに同席してもらったり、一緒にペルソナをまとめたりなど様々な仕掛けを行ってみましたが、一番手を付けやすく効果もそれなりに感じたことを紹介します。インタビューの議事録データをみんなで読み合わせたことです。ん？そんなこと？と思うかもしれませんが、いろいろ工夫があるので参考にしてみてください。

同じ時間に同時に見ること

個人的には一番重要なことだと思ってます。同じ議事録を一人で読むのと、みんなで読むことには大きな差があると思ってます。それは自分以外の人の考えや感想などを受信することで一人では気づけないインサイト得ることができるからです。自分は気づかなかったことや考えなかったことを通して、さらに理解が進むことがあります。そのため、なるべくみんなが同じ時間に同時に見れる状態を作りましょう。新たにミーティングをセットするとみんなの予定を合わせるのが難しかったりするかもしれません。そのような場合は、すでにセットされているミーティングのアジェンダに組み込んでみたりしてください。

感想の吐き出し場所をオープンなところに用意すること

ただ読むだけでは勿体無いです。読んだことで何を感じ、何を考えたかぜひアウトプットする場所を用意してください。私のチームではslackにスレッドを作り、みんなでコメントを書き合いながら議事録を読んでいます。これには様々な効果があります。「文字で書き起こすことで、より理解が促進する」「後から振り返ることができる」「他のチームへの刺激になる」など多くの副産物が生まれるので、ぜひ吐き出し場所を事前に用意することをおすすめします。

問いを投げかけること

書いてある内容を読むだけでも十分効果はありますが、さらに思考を深めるためには「問い」が必要です。「なぜこの人はこんなことを思ったんだろうね？」「なぜこの人こんな行動をしたんだろうか？」と投げかけてみてください。その真相が分かってなくてもいいです。そこから新たな仮説が生まれたり、アップデートのきっかけにもなったりします。実際私たちのチームでは時間が足りなくなるほど、みんなから考えや意見が出てきています。次第に慣れてくると、エンジニアメンバーから問いが投げかけられたりもしていたのですごく効果的でした。

ストーリーで理解すること

点でなく線で理解を進めることはとても重要です。議事録はあくまで議事録なので、インタビュアー/インタビュイーが発言したことをそのまま記録しています。そのため発言に出なかった部分や、どんな声のトーンで話してたかなどは、文字情報からだけでは読み取れません。そこはインタビューに出てた本人から補ってあげてください。「この部分は本当に辛そうな顔で話してた」とか、「ウキウキした感じで話してた」などそういう情報はとても重要です。インタビューが録画可能であれば、録画データを見る方がよっぽどいいと思います。

まとめ

改めて、一次情報を見るのってめっちゃ大事だなと感じました。そしてそれはPdM/デザイナーだけでなく、チームみんなで行うこともさらに重要です。しかし、顧客理解は地道でかなりコストがかかる活動だと思います。なかなか継続できなかったり、チームの人数によっては費用対効果が見合わなかったりなどするかもしれません。ただ、インタビューの議事録を読み合わせる程度であれば、意外と手をつけやすいと思います。難しいことではないと思うのでぜひ皆さんもチームで試してみてください！もっと詳しく話が聞きたい方などいれば、コメントやDMなどくださればお時間取りますのでお気軽にください！