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無休の果てに得る至福

昨日をもって11日間に及ぶ無休生活が終わりを迎えた。
『売れっ子』と呼ばれる人間や『休み』などという概念自体がない人間にとっては何てことのない短距離大股歩きに過ぎないのだろうが、休みが日常である私にとってはそれがあまりに長く、大層愉快な航海のようだった。
今日12(土)が8月初めての休み。
それはそれは満喫をした。
外気浴する赤子の如く、ゆるみにゆるんだ。

目覚ましをかけないで寝られることに幸福感を感じられるのは普段目覚ましをかけている人間だけであり、その蜜を余すことなく享受できたことだけは無休生活の賜物とも言えるのではないだろうか。

喰らったお寿司とシロノワール、お酒とアイス。
心は潤い、胃は荒れる。生憎身体はひとつだけ。
何かを成し遂げたかのような気がしてつい大盤振る舞いしてしまったが、冷静に振り返ってみればただただ社会的日常がいつもより長く続いただけであり、何ひとつとして形に残せるようなものなど無く、私は落胆した。
せめて『疲労が目に見えればいいのに』などと思ったりした。
だからと言って労わない選択をすればがんばった自分が不憫だ。私はがんばる人に優しい。
後悔だって微塵もない。
なにせ8月はじめてのお休みだったのだ!


そして私はもうじき帰省する。
台風の隙間をすり抜けていく。つもりだ。
そして故郷に着いた私はきっともう一層、もう一層と
深くゆるんでいくことだろう。
でも大丈夫、大丈夫だ。
社会的日常は嫌でも私を迎えに来るのだから
時間は楽しければ楽しいほど早く過ぎるのだから
それまでは息を抜いて、羽をのばそう。


おわり

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