朝方の保育園のお掃除

  この間登校した保育園エピソードのエピローグになります。 
 


 僕がさえ先生のお手伝いで三階の保育室の掃除をした日の翌日、僕はいつも通り遅れるようなことはなく、なんの拍子か朝一番に保育園に登校できていた。
 僕はいつもどおり正門をくぐって玄関をくぐると、玄関わきの職員室から出てくるさえ先生と出くわした。

「おはようゆうくん!今日は朝早いんだね!」

 先生がそう言うと、僕は靴を脱ぎながら笑顔で「うん!」と言って先生のもとに向かった。
 母親が「お願いしますね。」とお辞儀をしてさえ先生とアイコンタクトをとると、先生は「お預かりします。」と笑顔でお辞儀を返していた。

 僕が靴を脱いで先生のもとに向かうと、手をつながれて朝の保育室に向かうことになった。保育室の中はまだ誰もいない様子で、朝早くにきたことのない僕からすると、見たことの無いわくわくが広がる新鮮な景色が広がっている。
 そんな僕が保育室の中を見回していると、ほかの先生が朝の掃除としてトイレを磨いていたり、今日の予定をほかの先生と立てているのに気が付いた。僕が朝一番に来たことで、ベテランの先生はびっくりして驚いていたが、ほかの先生も僕が手を振って「おはよー!」というと、みんなも「おはよう、ゆうくん。」と返してくれる。そんなあたたかな雰囲気がそこにはあった。
 僕がほかの先生方とそんなあいさつを交わしていると、さえ先生が掃除機を持って保育室の外に出ていくのを見つけた。僕はそれを見た瞬間、持ってきたかばんを放り出してさえ先生のもとに駆け出す。すると、それをしっかりと見ていたさえ先生は、僕に向かって

「ゆうくん!ちゃんとかばんは自分の棚にしまって!」

 と廊下に差し掛かったところから僕に言った。僕は慌てて自分のロッカーにかばんを置きに行くと、ほかの先生たちはくすくすと笑いながら微笑んでおり、ベテランの先生は、

「本当にさえ先生のことが大好きね。」

 と少し呆れていた。
 僕がかばんを置いてさえ先生のもとへ行くと、僕が聞く前にさえ先生は今からすることを教えてくれた。

「今掃除機さんのおなかがいっぱいになってるから、元気になってもらうために、おなかの中に溜まったゴミさんたちを捨てに行くの。」

 先生はそう言って掃除機本体を優しくなでた。

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