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不労所得は悪か?

「教室の隅はり出された子どもの頃の夢には 
 職業の種類だけが並んでた
 でもほんとは自分をちゃんと愛せる自分に 
 なることがなによりも大事だった」

これは私の好きなMr.Children桜井和寿氏らが手がけるBank Bandというバンドの「Message」という曲の一節を借りてきたものだ。
確かに子どもの頃、「将来は何になりたいか?」と聞かれて、私も具体的な職業を答えていたし、多くの人がそうだっただろう。

その裏側には、「大人になる=自分で生きていく=お金を得る=働く」という考え方が子どもながらに染みついているのではないだろうか。確かにお金がなければ生きていけないし、大人になれば自分の世話は自分でしなければならない。一方で私が納得しきれないのは、「お金を得る=働く」の部分だ。

日本では、労働の対価としてのお金(給与)という考え方が非常に強い。逆に言えば、お金を得るためにはあなたの時間を労働に割くべきだし、少ない労働で大きなお金を得ることは倫理的に間違っているとさえ思わされることもある。

少ない労働でお金を稼ぐ、というものの最終形態は「不労所得」だろう。「不労」という単語からも、それ自体が邪で良くないものという雰囲気がにじみ出ているようにも思える。ただ、世界を見てみると「働かなくて生きていけるならそれがベスト」と考えている人も多い。チームワーク&ハードワークを必要とする農業を生業としてきた我々アジアの人々は、現代社会においてもがっつり働くことに抵抗を覚える人は少ないが、日本ではとりわけこうした不労所得に関する抵抗が強いように感じる。

これが日本で金融教育、とりわけ投資というものが進まないひとつの理由であろう。なぜなら、投資は「お金がお金を生む」、つまり人間ではなくお金に働いてもらう行為であるからだ。

ただ私は、日本も欧米諸国と同じ資本主義というルールの中で生きる以上、不労所得は悪だという考えは刷新すべきだと感じている。英語ではanother income source と呼んだりするように、いくつかの収入源を持っているということは何も悪いことではない。

冒頭の歌詞に戻って、「自分をちゃんと愛せる自分」と自信を持って言える人が日本にどれだけいるだろうか?趣味に没頭する自分、家族との時間を過ごす自分、将来について考える自分。我々は昔描いたような大人になれているのか?

私は投資を勧めている訳では全くないが、自分にとって意義のある人生を作る上で、投資はそれを可能にしてくれるひとつのツールになるだろう。だからこそ、将来にかかるお金の話、未来への投資というトピックがもっと身近なものにならなければいけないのである。

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〈以下、私の想い〉
私は金融機関で働く者として毎日相場を見ています。
今年は強烈な円安と、日本株の上昇が顕著だったと思います。ただ日本株が買われた理由としては、円安によって海外投資家から見たときに割安に見えたからと言われています。つまり、日本経済の成長を期待したわけではなく、単に割安だから買ったというわけです。
私はこの一件で、日本経済がこのままだとヤバイと危機感を覚えました。そこで、私の持っている投資に関する知識を使って、日本の人たちがもっと投資に興味を持てるような活動をしたい、と当初考えました。
ただ、よく考えると、今日本の人たちがより必要としているのはそうした投資の知識ではなく、持っているお金をどう使って何を成し遂げたいか、ということを考える機会なのではないかと思いました。
お金と向き合うことがなんとなくタブー視されるこの国で、目的を持ってお金を使い、自分の人生にもっと意味を見いだすことができれば、もっと皆が楽しく暮らせるのではないかと。そうして人々が活性化すれば経済にも波及するはずだ、と思っています。

ただ、自分にできることは何か分からず、とりあえずこのNoteを始めてみました。今日はやや叙情的に思ったことを書き綴ってみました。

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