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遊山箱の文化と歴史について

こんにちは。遊山箱文化保存協会です。

私たちは、徳島県に伝わる遊山箱を守り、伝え、つなげるために活動する遊山箱愛好家団体です。遊山箱文化の伝承を目的とし、遊山箱を使ったテーブルコーディネートの提案、交流イベントの開催など、暮らしの中で楽しみながらその魅力を体験する機会を設けております。

遊山箱(ゆさんばこ)は子ども用の三段重ねのお弁当箱です。
旧暦の3月3日、子どもたちは遊山箱を持って、野山や海へ遊山に出かけるという風習があり、大正時代~戦後にかけて愛用されていました。

徳島で遊山箱が作られるようになったのは江戸時代といわれています。
阿波藩の水軍を支えた船大工たちが技術研鑽のために作り始め、木材加工の高度な技術は今に伝わっています。

昭和50年頃に一度途絶えてしまった遊山の風習ですが、木工組合の呼びかけにより復刻。今では伝統工芸品として徳島県内のおみやげ店や木工所などで販売されています。

https://yusan-bako.info/

3月3日(日)イベントの告知をさせていただきました。
イベント当日までnoteで遊山箱のお話をしていきたいと思います。

どうぞ、お耳からも遊山箱の歴史のお話を聞いてください。

https://youtu.be/_jOj9dUIwDg?si=Jevzp6DH0JW27dAi

遊山箱は、徳島発祥の取っ手が付いた手提げ式のお弁当箱


旧暦3月3日の節句の頃に使われていました。鮮やかな絵が描かれた扉を上に滑らせて外すと、3段重ねのお重が入っています。

中には1段目には、巻きずしや稲荷2段目には、お煮しめや卵焼きや茹で卵、3段目には色つき寒天など、それぞれの家の手作りのご馳走がたっぷり詰まっていました。

徳島には、子供たちがこの遊山箱を持って遊山に繰り出す習慣がありました。子供が生まれたお祝いに、雛人形と一緒に飾る家庭もあったそうです。遊山箱は様々な場所で使われました。海の近くに住む人は、磯や海へ、農家や山間部の人は、近所の土手や遊山。街の人は、桜の咲く花見へ。農業が始まる時期を控えた春の節句は、山の神様を迎える大切な行事でもありました。

子供たちが遊山にぴったりのところへ、遊山箱を持って繰り出し、美味しい料理をみんなで食べます。遊山箱が空になったら、よその家でごちそうやおやつを入れてもらえたそうです。この日は、どの家庭も料理をいっぱい用意して、子どもたちを待っていました。

子供たちにとって自分の暮らす街や近所の人の愛情を感じる日

ハロウィンのようですね。山を走り回ったりして、お腹がすいたら、近所を回って、お寿司や羊羹を自分の遊山箱に入れてもらって、また食べる。遊山の日は子供たちにとって自分の暮らす街や近所の人の愛情を感じる日でもありました。

江戸時代、徳島には水軍の拠点だった地域があり、そこには船大工が多く住んでいました。その技術で余った木材を使って作ったのが、遊山箱の始まりとも言われています。遊山箱にいた手提げ式のお弁当箱は、全国でもいくつかの地域にあるようですが、遊山箱という名前を持つお弁当箱は徳島にしかありません。

徳島で生まれ育った人は、遊山箱の話になると、幼い頃の思い出が次から次へと溢れてくるのです。連綿と連なる徳島の歴史の中で、遊山箱は確かに息づいていました。しかし、時代とともに、遊山箱は次第に使われなくなっていきました。

遊山箱を作れる職人さんや、売っているお店もどんどんと減ってしまいました。遊山箱を広げたときに味わった胸躍るような幸福感を、あの頃のようにたくさんの人に味わってほしい。遊山箱を徳島発祥の貴重な文化として保存し、次の世代へ受け継いでいこうという声が今高まっています。

40年ほど前までは当たり前に見られた徳島の伝統は現在、遊山箱の復活とともに、あちこちでまた見られるようになりました。この文化を愛する徳島の人たちによって、遊山箱は時代に合った様々な使われ方をしています。

次回は、何もなかったけど、その頃が一番楽しかった。というお話。
幼い頃に遊山箱を経験した方からのお話を聞いたnoteを書きたいと思います。

【イベントのお知らせ3月3日は遊山の日】

私たち、遊山箱文化保存協会はこれからも遊山箱の文化を伝えていきたいと考えております。どうぞ、遊山箱を懐かしく思い出される方も、遊山箱を初めて知る方も、3月3日は阿波十郎兵衛屋敷イベントにお越しください。

イベントの詳しいご案内はチラシからもご覧いただけます。この日のためにアレンジした遊山箱セット(お茶付き)はご予約が必要です(50名様まで)

3月3日は遊山の日!
人形浄瑠璃公演やデジタル襖からくりも。

予約はこちらから。


文責:遊山箱文化保存協会 事務局


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