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詩「独楽」


わたしは独楽だ
スローモーションで
くるくる回る独楽だ

だれが回してくれたか知らないが
ともかくこうして動いている

もう回転のピークは過ぎて
あとは緩やかに止まるのを待つだけ

少し傾いて
くらくらと揺れていて
いつかは脚元から滑って転ぶだろう

独楽は自分では回れないし
その突端は
回るたびにみるみる擦り減っていく

だれかがもう一度回してくれたらいいのに
上から大きな手が降りてきて
わたしを摘まんで
またあの楽しい時間を与えてくれたらいいのに

でも考えると
誰もが独楽で
それぞれの場所で回っている

ぶつかりそうになっては
ブレーキをかけられて
それがきっかけで
自分の姿に気がつくんだ

わたしは独楽だ

もう少しだけ回ってみよう




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