あいまいさのマネジメントとネガティブ・ケイパビリティが経営に必要だ、という話
こんにちは、カミナシの河内です。
みなさんビジネスシーンにおいて「あいまい(曖昧)」というワードをみたときに、どのように感じますか?
おそらくネガティブな印象を持つ人の方が多いのではないでしょうか。
私自身が過去には「あいまい=悪」と捉え「早く明確にしたい」「結論を出したい」と考えていました。(特に大企業に所属していた際に、その傾向が強かったように思います)
しかし、経営に関わる中で「あいまいさ」は排除するのではなく、適切にマネジメントして取り入れた方が良いと考えるようになりました。
今では組織運営において細部まで決め切らずにあえて「あいまい」にしたままにすることがあります(もちろん時と場合、議題によりますが)
今回はそんな「あいまいさ」をテーマに書いてみます。
「あいまい」にする理由
昔はどんな内容でも結論や認識が定まっていないと、気持ち悪さ・居心地の悪さを感じ、限られた情報の中でも論点を整理をしようとしたり細部まで決め切るようにしていました。
しかし、世の中はすべての物事に白黒をつけられるほど簡単ではありません。特に未来に対する不確実性が高いスタートアップ企業では、より一層白黒つけづらいものが多いです。
それにも関わらず「あいまいさ」に耐えられなかった過去の自分は
「答えが出ない問いに対して、無理やり答えを出す」
「分からないことを生半可な意味づけで分かった気になる」
ということを行なっていました。
実際にはまだグレーにしか見えていないのにも関わらず、見てみぬふりをして「これは黒だ!なぜなら…」みたいなことをやっていたんですね。
その結果、未来に存在したかもしれない「新しい視点」が失われ、本来もっと良いものにできた可能性を閉ざしてしまっていたように振り返ってみて思います。
そのため、今は白黒つけたい気持ちをグッと抑えて「あえて、あいまいなままにしておく」ことを大切にしています。
似たようなニュアンスの話ですがカミナシでは「ルール」ではなく「ポリシー」、「マニュアル」ではなく「ガイドライン」など解釈の余地がある言葉を意識的に使うようにしています。
「あいまいさ」に耐える能力
しかし、このあいまいな状態に対する耐性は人や組織によって差があることが分かってきました。
人は本能的に目の前に「問題」があれば解決しようとしますし「理解できないもの」があれば分かろうとする生き物です。あいまいな状態に置かれるとモヤっとする人が多いのではないでしょうか。
このようなあいまいな状態に耐える能力のことを「ネガティブ・ケイパビリティ」というそうです。こちらの書籍ではネガティブ・ケイパビリティを以下のように定義づけています。
これまでは「問題を解決すること」が能力だと思っていたのですが、ネガティブ・ケイパビリティでは「問題を解決しないまま、耐えること」を能力だと定義しているんですね。逆説的で面白いです。
今の時代、特にスタートアップのような環境で働く人たちにとっては問題解決力と同様に重要な能力だと思います。
ネガティブ・ケイパビリティは損なわれていく
これまでカミナシでは、個々が自律的に動けるような「余白」を文化として大切にしてきました。その文化によって、これまで思いもよらなかった新しいチャレンジや想像を超えるアウトプットを生み出せてきたと実感しています。
特にスタートアップの初期フェーズで飛び込んでくるようなカオス耐性に強い社員はネガティブ・ケイパビリティが強い傾向にあり「あいまいさ」を受け入れやすい土壌があったと思います。
しかし社員数が増え、組織のフェーズが変わってくると少しずつ組織能力としてのネガティブ・ケイパビリティが損われていく力学が働きます。
問題があったら解決しようとしますし、誰もが理解できる明確なものが好まれるのは自然な流れです。しかし、その力学に身を委ねていると「あいまいさ=悪」という認識が組織内で形成され、本来の可能性を自ら閉じてしまう組織体質にいたってしまいます。
組織拡大と文化の両立はあらゆるスタートアップが向き合うテーマですが、「あいまいさ」を取り入れるなら意図的に組織能力としてのネガティブ・ケイパビリティを開発していく必要性を感じます。また、「あいまいさ」の拡大解釈により「ゆるさ」につながらないようなマネジメントも必要です。
さいごに
カミナシは、この1年で組織規模は約2倍に拡大しましたが今のところ元々存在した良い組織文化と、成長するために新しく会得すべき組織文化を良い感じに融合できている実感があります。
来年も組織を進化させながら、一方で「カミナシらしさ」を大切にしながら組織を運営していきたいものです。
今回は以上です!
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