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パーマカルチャーワークショップから感じた“デザインとは?”。
こんにちわ。渡辺です。
もう数ヶ月前のことですが、実家でパーマカルチャーのワークショップを開催しました。
私にとってのパーマカルチャーは「農とデザインって似てるかも」という想いをより強固にしてくれたキーワードでもあります。
何から手をつけてよいかわからないけど、これはぜひ多くの人にも知っていただき、少しでも実践したい!と思って企画したのが今回のワークショップでした。
パーマカルチャーとは?
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パーマネント(永続性)、農業(アグリカルチャー)、文化(カルチャー)を組み合わせた造語。デザインとしての面白さもあり、生産と共生を同時に実現できる手法や事例がいくつもあって、建築や地域づくりにも活かせる考え方だと思います。
今回の実践のテーマは、「スパイラルガーデン」。パーマカルチャーを知った当時からずっと庭に作りたいと思っていた花壇です。
スパイラルガーデンとは?
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こちらの写真はあくまで一例ですが、基本的に渦巻き状の形をしています。
なぜか惹かれてしまうこの花壇。なぜ渦巻きである必要があるのか?調べてみると見た目以上の魅力が詰まっていました。
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こちらはスパイラルガーデンのイメージと、そのデザインについての図解。パーマカルチャーは原則と法則を覚えておくことが大切です。この花壇にはエッジ効果と微気象による多様性を生む法則が隠されていました。
ワークショップの様子
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建築を学ぶ学生や地域活動をしている参加者も多く、パーマカルチャー的な考え方やデザインを自身の活動にどう活かせるか?真剣に考えながら聞いてくださいました。
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早速実践!
まずはモルタルを作るところから。
ほとんどの参加者が初心者ということでちょっとしたことでも達成感が生まれます。(笑)作業内容によっては経験があったり得意な方もいて、本当にワークショップにした甲斐がありました。素晴らしい助け合いのおかげで想像を越えるスピードで花壇が出来上がっていきました。
その様子がこちら。
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まずはベースをつくるところから。スパイラルガーデンはその効果を最大限に活かす方角が決まっています。
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これは後にご理解いただけると思いますが、スパイラルガーデンと太陽の位置関係が大切です。中央が高くなるので写真の右側は1日を通して日陰の時間が長くなります。そうすることで微気象が生まれるのです。池も日陰側になるように設置することで水場を確保できます。ここには現在メダカが暮らしています。(笑)
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お昼前、石を半分以上積み上げて池用の穴も出来上がってきました。穴の中はひんやりと気持ちいらしく、途中子どもたちが独占。(笑)
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さて、ランチタイム!
お昼は実家のお米や野菜をシェアしました。シャキシャキの新鮮野菜と自家製柚子シロップは大好評!
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地元の方はもちろん、宇都宮や東京から参加してくれた方も多く、みなさん改めて自己紹介や今後の夢についてお話ししていました。それぞれ専門性があって何か想いを持っている。農作業でひと汗かいた後の交流は本当に楽しいですよね〜。
しかしまだ作業は終わりではありません!私もトークを楽しみつつ、早く花壇を完成させたい気持ちでうずうず(渦渦)していました。
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午後の作業はほぼ仕上げ。石を積んで、土を入れて、石を積んで、土を入れて。みなさんどこまで高くすれば良いのか戸惑いながら、「もう一段ですかねぇ」と言い合いながら、徐々に高くしていき、、、途中縄文時代のお話などもしながら(笑)
夢の花壇の完成!
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無事に完成しました!!予め買っておいたハーブを仮に置いて、育ちやすい気象を確認しながら、ローズマリーは中央に、ワイルドストロベリーは日陰の低い位置に、と全員で確認しながら植える位置を決めていきました。
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そして完成した花壇がこちらです!
綺麗な渦巻き。高さも十分に出すことができました。みなさん本当にありがとうございます。大切にしていきます。
完成から数ヶ月後の様子
そしてワークショップから3ヶ月後。久しぶりに実家に帰省してみると、、、
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ハーブたちは驚くほど成長していました。バジルはすくすくと成長し、ミントは地面を這うように面積を広げていました。
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夏休み企画でピザを食べたときには、その場でバジルを収穫して一緒にいただきました。これがたまらなく美味しかった。。。
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夏休み企画で撮影した1枚。いいですねぇ。
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池で飼っているメダカもイキイキしています。
振り返り
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農を起点にしたコミュニティの魅力と持続可能性。
国全体の農業人口はご存知の通り減少傾向ですが、近年私のように兼業で農業をしている農家が割合的には増えているようです。コロナの影響もあるのか、最近はシェア畑も充実してきており、副業的経営体として農作業に励む方の割合が増えたのでしょうか。
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この図を見ていると、国や世界の食料確保を考えるうえでは主業経営団体が増えて、農業が産業として盛り上がってほしいという想いもありますが、農という営みに対しての潜在的なニーズを感じることができて嬉しかったです。
“我々も本来は自然の一部”というと、急に話が飛躍してしまうかもしれませんが、農という営みにおいては収穫だけが喜びではありません。その過程の植物の成長の様子や田畑で感じる大自然を感じることも幸せなひと時だと思っています。今回のワークショップではまさにその時間をみなさんと共有できたことが何よりの収穫でした。
ものごとをマクロの視点とミクロの視点で捉える。そして、デザインする。
小見出しで書いたものの、これって本当に難しいですよね。
急に「地球規模で、、」とか「宇宙から見たら、、」とか話し始めたら、発言や聞き方によってはスピリチャルな怪しいなにかか?、もしくは現実逃避?のようにも聞こえるかも。ワークショップに参加されていた方の中にも「最初パーマカルチャーって怪しいなにかかと思ってました。」とお話ししていた方がいました。(笑)
パーマカルチャーには「観察して関係づける。」という原則があります。これってまさにデザインに通ずる部分があると思います。デザインと一言で言うと幅が広いのですが、例えばインフォグラフィックを作るときも、一点一点の要素をしっかり観察しながらそれが持っている機能や本質を捉え、他の要素と接続していく作業を繰り返します。そして全体像を捉えることで構図や世界観が見えてきます。逆に全体の構図から考えることで必要な要素が見えてくることもあります。まちづくりにおいても住人の個性や悩みを観察しながら、まちの他の資源を丁寧につないでいき、全体をつくっていくことができるかもしれません。
私は世の中の人全員がマクロの視点とミクロの視点を捉えるもしくは感じる力を持っていると思っています。ただマクロとミクロの両方の視点を同時に表現したり接続するスキルが無い場合や、社会が複雑すぎて何をどう見てよいかわからなくなってしまった場合はこの2つの視点を使いこなすことが出来ません。
しかし自然界を見ると不思議なことにさまざまな事象がマクロとミクロのあいだをつなぐようにバランスを保っています。人間や動物だけがコミュニケーション能力があると言われていた時代からだいぶ研究も進み、植物同士も実はコミュニケーションをとっていた!?という研究結果も一般的なテレビ番組で耳にするようになりました。私にはそれがどんな世界観なのか?は想像することしかできませんが、事実として疑いはしませんでした。自然界はダーウィンの「自然選択説」ように進化して今に至っていると思います。私なりに解釈するのであれば、あらゆる生命が非認知的なコミュニケーション能力を持っていて、それによって生き抜く術を磨き、子孫を残し、遺伝の仕組みで種全体が変化していく。それが出来ない種は全体が淘汰されていく。という世界が現実だと思っています。これは人間社会にも通づることがあると思いますが、私たちの今の暮らしには自然界からの五感で感じる情報があまりにも少ないように感じます。マクロの視点もミクロの視点も、そこに映るのは私たち人間だけではないし、動物園や植物園や教科書で見たような極端な自然だけでもありません。今はSNSなどで世界の絶景や時には深刻な情報も得ることが出来ますが、やはりパーマカルチャーワークショップで思ったのは、目の前にあるリアルに物事からマクロとミクロを想像することが大切だということ。実際に触れてみて、相手が話せるものでも話せないものでも対話してみる。そうすることで見えてきたものごとの本質をつなげてみる。これこそデザインの本質ではないか?と考えさせられました。
ワークショップ当日はとりあえず楽しもう!という意識で花壇をつくることに精一杯でしたが、改めて振り返るといろいろなことを考えさせられます。参加してくれたみなさん、そして遥々栃木まで教えにきてくれたTKCに感謝。
講師情報
講師:小久保孝志(こくぼたかし)/ガーデンティーチャー
タカシの頭文字でTKC(Sだけど何故かC)と呼ばれている。
子どもの頃から自然に心地よさを感じ、気づけば大学で森林学を学び、自然と人を繋げる仕事をしていた。
多様性が生まれ豊かになる自然環境を人の暮らしからアプローチ。本来の人が生きる意味を暮らしから問い続けている。
現在は【自然×文化×教育】を軸に自然と共にある暮らしを子どもたちと共に実践中。
資格:パーマカルチャーデザイナー、RAJリバーガイド、自然遊びインストラクター
HP: https://gokantaiso.org
Instagram: https://instagram.com/gokantaiso_tkc?igshid=YmMyMTA2M2Y=
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