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オムライスと人間の傾向性

モンテッソーリ教育を学ぶ中で、人間の傾向性という言葉が出てきました。

人間の傾向性とは、人間の内側から駆り立てる強い力で、人がより人間らしくなるため私たちを後押ししてくれる衝動のようなもの。
<参考>
マリオ・M.モンテッソーリ『人間の傾向性とモンテッソーリ教育』
東京:株式会社風鳴舎、2016  p.77

内側から自分をドライブさせるものといったイメージでしょうか。

これは阻害されない限り作動し、居住地や文化・人種・経済状況に関わらず、生涯を通して発揮されるものと言われています。

傾向性が発揮されると満足し自己実現につながっていきますが、発揮できないとストレスが溜まっていきます。

例えば「探求」という傾向性があります。
人は色々動きまわって知りたいということです。

子供があっちこっち動き回って、ありとあらゆるドアや引き出しを開ける(笑)のは、この傾向性が発揮されているからです。
大人も引越しや旅行などで新しい場所に来たら、ちょっと路地を覗いてみたり、色々と動き回りたいじゃないですか。アレですね。

だから、今回の新型コロナのように自粛が続くと傾向性が発揮できなくツライんですよね。


他にも傾向性は色々とありますが、「向上心」なんていうものもその一つです。

「繰り返し、向上心、正確さ」
何かを作り出すとき、人間は頭に描いたイメージにできるだけ近づこうとする。そして頭の中にある性格なイメージ(正確さ)に近づくまで、何度も作り直し繰り返す。「次はこうしよう」、「今度はもっと良いものを作ろう」と努力する(向上心)。
<参考>
マリオ・M.モンテッソーリ『人間の傾向性とモンテッソーリ教育』
東京:株式会社風鳴舎、2016 p.82


私はたまに料理をするのですが、なかなかうまくいきません。以前オムライスを作った時など、上手に半熟卵の状態を作りたいけれども、普段から料理をしていない私にはそんなことできません。

う〜…でもやりたい。
何かに突き動かされた私は、その日に3回繰り返してオムライスをつくりました。家族はさぞや迷惑だったことでしょう(笑)。

1回目失敗して、よりこうすればうまくできるんじゃないかなという気づきを得て、その目標を達成するために試行錯誤しながら、完成形をイメージして向かっていく。
没頭して取り組むことで上達し、最終的にまぁまぁよい感じの半熟卵ができて自己満足したわけです。

今思うと、正にそれは傾向性を発揮していたんだなと。


そんなことを書いているうちにある本を思い出しました。ご存知の方も多いと思いますが、ダニエル・ピンクさんの『モチベーション3.0』と言う本です。
大人社会での話ですが、その本では、「持続するやる気!」を引き出すには、アメとムチのマネジメントではなく、「自律」「熟達」「目的」の3要素を大事にしたマネジメントが必要だと言っています。

3要素を非常にざっくりいうと
自律性:自分で決めて自分なりの方法で目標に向かっていきたい
熟達:価値のあることを上達させたい
目的:自分以外の「より大きな目的」に向かっていきたい
というようなことです。

言葉は違いますが、「自律性」や「熟達」は「向上心」の傾向性とも通ずるなぁと思いました。「目的」の部分は今回のnoteでは触れていませんが、人間の傾向性でも「精神性」というものがあります。

そう考えると、子供社会でも大人社会でも、
いかに傾向性やモチベーションの3要素を発揮できる環境を用意できるか
が大事なのではないかと思います。

これがまた言うは易し行うは難しなのですが(笑)。
特に仕事になると、失敗が許されず自律を促す余裕がなかったり、試行錯誤して熟達していく時間が取れなかったりする場面が多いですよね。

でも、それでも尚、ちょっとずつでも、その環境づくりに腐心することが、結果みんなにとってよいのではないかと思うのです。

加えて人間の傾向性などを、それぞれ自身が知っておくというのもとても大事なんじゃないかなと思いました。
傾向性は万人に共通すると言われていますが、当然個別に強弱があるわけです。

自分自身が、どの傾向性が強いかを把握していれば、自分を置くべき環境もわかってくるし、なんで自分が今やる気になっているのか、ストレスが溜まっているのかもわかったりしますよね。

そうすることで、自分自身を望ましい方向に軌道修正していけると思うのです。

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