【288】憎悪にも似たもの

すれ違いや言い合いは何度かしてきたけれど、この度に「もうダメだろう」と思って。

価値観もリズムもとうの昔に合っていないことは互いがわかっているけど、夫婦なんてものは所詮は元は他人だから、過剰にすり合わせを求めても《摩擦》にしかならない。そこで生じた熱がプラスに作用するよりは、《なぜ？どうして？》と自己嫌悪と相手に対してのフラストレーションに変換されるばかり。

こんな繰返しをどこの夫婦間でも発生させているのだろうか。それとも、僕たちが変わっているのだろうか。

改善されて、成長していく様な会社組織みたいにはなかなか上手くは行くことはない。
指示とか命令じゃないから。やれと言うものでもないから、《やろうかな》と思わないと変われない。
もっとも《気付き》が必要なのが実は夫婦の関係性なのかも知れない。
損得や利益云々じゃなく、互いを尊重していくことで心をまず健全にしていれるように。
共に生きて、共に歳を重ねるわけだから、長い長い道のりだ。

こんなこと考えながら過ごす夜は何度目だろう。

傷ついていたのは何度目までだっただろう。

傷つけていたのは何度目までだっただろう。

夕食を済ませ、いつものように黙々と食器を洗いながら水温が少し下がって来ていることを感じる。寒い季節を迎える頃にはしっかりと肌が荒れ始める。

人差し指と親指の先の皮がささくれてくるのがここ数年の合図になっている。

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