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紅葉に誘われ、久しぶりの戸外制作。

秋が深まって、関東平野は紅葉まっさかり。この週末は、天候が良い。赤や黄色に染まった葉が、青空によく映える。この季節ならではの、陽だまりの仄かな暖かさと、時おり吹き抜ける風の冷気が、実に心地よい。近所の公園まで、画材を持って歩いた。

とても久しぶりのプレネール。

ブログの記録で確認したら、戸外制作はちょうど1年ぶり。昨年11月の米国出張時以来だった。

公園は、とても賑わっていた。多くの子供たちが駆け回って遊んでいる。お年寄りも、若者も、家族づれも、次から次へと公園にやってくる。みんなフェイスマスクをしていることぐらいが、以前と異なるぐらい。外出自粛なんて言葉は、完全に過去のものだ。

およそ1時間半。いつもよりも少し大きめのスケッチブックに、いつもより時間をかけて描いた。だんだんと描き込んでいくうちに、まわりから視線を感じるようになる。これは、戸外制作ではよくある感覚だ。やがて、小学校高学年ぐらいの女の子3人組に声をかけられた。

「あのぅ、すみません。とても上手ですね。」

絵の邪魔をして怒られるんじゃないかと思ったらしい。それでも3人で相談して、勇気を出して、声をかけてくれたのだとか。わたしは職業画家ではないこと、ここには滅多に来ないこと、しかし毎日絵を描いていること、いつもは自宅で描いていること、なんかを話した。

持っていたスケッチブックは、あまり使わないものだったので、他には3枚しか描いていなかった。それでも、他の作品も見せると、女の子たちはとても喜んでくれた。

「ママに見せたいので、スマホで写真を撮ってもいいですか」と聞かれ、「もちろんいいよ」と快諾した。

今まで何度か展覧会をやったことなんかにも触れたら、ぜひ観たいと言ってくれた。今は具体的な個展の予定がないのが残念だったけど、近いうちに、この子たちに観てもらえる機会は訪れるだろうか。

その後、何人かの子供たちが、声をかけてくれた。

完成が近づいたころ、ひとりの男の子がやってきた。

やはり、わたしが画家なのか、いつ描きに来るのか、などを訊いてきて、わたしはひとつひとつの質問に答えた。その子は、身体的なハンディキャップがあるようだったけれど、絵を描くのが好きで、たくさんの色鉛筆をもっていることを話してくれた。また、どうしたら上手に描けるようになるかと訊かれ、毎日描くことを勧めた。

わたしが持っていたオイルパステルも興味深かったようだ。もっとも、子供たちにとってはクレヨンにしか見えないので、いろんな種類のクレヨンがあるのだと説明した。画材ごとに特性があり、たくさん描くことで、その画材を使いこなせるようになるのだと話したけど、わかってもらえただろうか。

単に描くだけでなく、こうした交流があると、記憶に残る。短い時間だったけれど、楽しい戸外制作になった。

今日描いたこの公園の絵には、人物を描かなかった。人々に関心がなかったわけではない。たえず人々が動き続けていたので、描けなかっただけのことだ。人影のない、紅葉まっさかりの公園の絵。無人のように描かれたこの公園には、とても多くの人びとが訪れ、わたしと話した子供たちがいる。そのことを書き留めておきたくて、その日のうちに、このnoteを残すことにした次第。


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