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21日の音楽

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2022年9月より、毎月21日に好きな音楽の動画(または音声)について、ひとりよがりに紹介しています。
運営しているクリエイター

記事一覧

China Girl by David Bowie

昨日まで中国に行っていた。大陸側、いわゆるメインランド・チャイナへははじめてだ。 10日間…

桂田祐介
8日前
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We Can Work It Out by the Beatles

本日7月21日、思いたって浅草のブックマーケットに出かけた。去年も行って楽しかったブックマ…

桂田祐介
1か月前
9

The Elfin Knight by Boann

本日は夏至。 夏至にはいつもシェイクスピアの喜劇『夏の夜の夢』を思い出す。洋の東西を問わ…

桂田祐介
2か月前
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忘れちやいやョ by 渡邊はま子

先日、大吉原展を観に行った。これはまた別に書いておかなくてはと思っているのだけど、かつて…

桂田祐介
3か月前
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Moon River by Audrey Hepburn

昨日、東京の虎ノ門ヒルズで行われているTiffany Wonder展に足を運んだ。これはあのジュエリー…

桂田祐介
4か月前
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Martha (Tommy) by Bette Midler

まさかの2回目のMarthaはベット・ミドラーによるカヴァー。トム・ウェイツはトム・フロスト(…

桂田祐介
5か月前
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再生

Valentine Moon by Sam Brown and Jools Holland

2月といえばバレンタイン。本邦では女性から男性にチョコレートを贈るのが定着して久しいけれど、国によっては男性から女性に花束を贈ったりして、作法はいろいろ違っていてもロマンチックなイベントになっている。そんな時期に流れるバレンタインソングもどこか甘酸っぱくて切ない。 The first time you kissed me at the end of our street The gas lamps shone above us, young lovers we’d meet ノスタルジックな情景描写ではじまるこの曲は、時とともに変わってしまった街の姿をよそに、変わらず輝き続ける月光と恋心を歌ったものだ。 But the old town has gone now and it’s winter too soon Still we waltz beneath our valentine moon ガス燈(gas lamps)と聞くとあのイングリッド・バーグマン主演の映画を思い出すせいか、サスペンス的な不穏さを帯びてくる。ワルツから連想するのはオーストラリア民謡のWaltzing Matilda。放浪するという別の意味がある。 We danced together as old lovers do 冬が来るとか過去形の言いまわしに、もしやふたりの関係も過去のものなのかと思わされるけどどうなのだろう。 Cette fois tu m'embrasses, au bout de notre rue Les lampes de gaz nous allumiere, toi et moi jeunes amants 後半にフランス語で歌われるのは、冒頭のガス燈の下での口づけを受けて、今度はあなたがキスしてと歌う。単純なラブソングととらえるには引っかかりのある含みに、心のどこかがちくちくする。 toi et moi というと、大きさのそろったふたつの宝石が寄り添ったデザインのリングを指す。クロスオーバーといって、斜めの互い違いのレイアウトが典型的なので、これまたどこかにすれ違いを思わせて、駆け引きがあるような単純ではない大人の恋を思わせる。 どこまでが意図されたものかはわからないし、多分にわたしの考えすぎなのだろうけど、そんなところもこの曲に惹かれるところ。 歌っているサム・ブラウンは昨年ジョージ・ハリスンの曲のカヴァーで紹介した英国のシンガー。ジョージ最後の曲が収められたジュールズ・ホランドのアルバムを買ったおかげで知ることができた。素敵な音楽とはどこで出会えるかわからない。

The Times They Are A-Changin’ by Sinéad O’Connor

先日、地図について書いたときに最後に取り上げたボブ・ディランの名曲The Times They Are a-C…

桂田祐介
7か月前
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Calling You by Holly Cole

riluskyEさんが「シャーマンか巫女のような歌声」と題して書かれていたnoteを読んで、真っ先に…

桂田祐介
8か月前
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Sick & Tired by the Cardigans

ただでさえ一年の終わりに近づくにつれ気忙しくなる11月。今月になってから急に寒くなって、体…

桂田祐介
9か月前
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Learning to Fly by Tom Petty and the Heartbreakers

先日別のエントリでも書いたけど、わたしはエアレースのファンだ。しかし4年ぶりに開催された…

桂田祐介
10か月前
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Fly Me to the Moon by Tony Bennett

21日の音楽と称して音楽映像や音声をポストしはじめてまる1年。今月から2年目。 先々月にRol…

桂田祐介
11か月前
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Horse to the Water by Sam Brown

先日、映画「コンサート・フォー・ジョージ」を観た。2002年におこなわれたジョージ・ハリスン…

桂田祐介
1年前
3
再生

Rollin' and Tumblin' by Jeff Beck and Imogen Heap

月初に書いていたように、このところTumblrの仕様変更に悩まされている。Tumbleつながり・・というちょっと強引な連想だけど、今月の「21日の音楽」はブルースの名曲Rollin' and Tumblin'。 先月のSummertimeほどではないけれど、結構いろんなミュージシャンが演奏している。マディー・ウォーターズ、ロバート・ジョンソン、エルモア・ジェイムス、クリーム、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、シンディ・ローパー・・・そんななか、わたしがとくに気に入っているのは、謎めいた歌声のイモージェン・ヒープの歌うバージョン。ギターを弾くのは今年のはじめにこの世を去ったジェフ・ベック。 2001年のジェフのアルバム「You Had It Coming」で知った。そのころのジェフは打ち込みリズムにギターをかぶせたテクノスタイルをやっていて、無機質さとパワフルさと繊細さが重なりあったスリリングな音が特徴。この曲のイモージェンのヴォーカルの浮遊感が、それはそれは独特な世界をつくっている。 じつはiPod(いまだ現役!)でランダム再生していてこの曲がかかり、ちょうど曲名からもTumblrのことを思い出したのだった。音楽の無機質さとスリリングさが、なんだか最先端のメディアを模索している様子のTumblrの印象にピッタリな気がした。 というわけでnoteで書こうとYouTubeを検索。それでこのライブ動画を見つけたのだけど、やはり実際に演奏している様子が観られるとその印象も変わる。ジェフさん、すごい力技。イモージェンは高音キーの浮遊感はそのままにリズムと声ののびを探っている。なんだかテクノ(=技術)的な印象が強かったけれど、ライブ録画を観ると、それを作っている、演奏している人びとの生身の凄みが感じられる。百聞は一見に如かず。 そうそう、Tumblrも、その背後で懸命に、だけど楽しく開発している人びとがいるのだよね。で、ユーザーのわたしもあくせく問題を解決しようとしているのだよね。なんだかジェフ・ベックとイモージェン・ヒープのライブ会場にいる観客にまぎれたような気分だ。