現場では予想外なことが起きる。だから鍛えられる。
2020年度は、withコロナな1年ですね。そして、これはまだもう少し続いていきそうです。その結果、学校現場でもオフィス現場でも、オンライン授業とかリモートワークとかが一気に広がったのではないかなと思います。
それによって楽になったこともあるし、それによってなんだか無味乾燥で面白みがないというか、リアリティがないことも増えたかもしれません。
まぁそんなこんなな日々ですが、私たちが2011年くらいから取り組んでいる日本と途上国の教室つなぐWeb交流「DOTS」という活動についても、以前以上にまた問い合わせが増えてきました。
オンラインの活用に加えて、SDGsとか、英語を使うとか、主体的な学びとか、ICTの活用とか、そういった社会の変化が一気にきたので、その影響かなと思っています。
そして今日、大阪市内の小学校に訪問して、ネパールの学校とのDOTSを実施してきました。今日はそこで起きたこと、感じたことについて綴りたいと思います。特に、「発生した問題にどう対応するか」という視点で書きたいと思います。
「こんなに大変なことって続くか!」くらいな感じでした、実際。よければ、お付き合いください。(大変、と書いていますが、めちゃくちゃ楽しかったです!)
1) 交流相手校のファシリテーターが体調不良で欠席
私たちは、ネパールやマラウイの学校の先生、もしくは現地パートナーと連携をしてDOTSを行っています。現地の先生にはZoomの使い方や発言、リアクションの仕方、生徒の発言の促し方や引き出し方、トラブル対応等についてトレーニングを行ってきています。それゆえに、スムーズな交流ができています。
今回は、初回の交流の前夜にメッセージを送っても既読にならず、心配になり他の先生に連絡をしました。すると、「体調が悪いみたいで、明日もこれないかもしれない。頑張って来るようにする、とは言っていたけど」といった返信をもらいました。これは、ピンチですね…
実際、交流当日もやはり体調が回復せず、「申し訳ない、今日はいけないです(>_<)」といったメッセージをもらいました。慣れている方が現地にいるかいないかは、安心感が違います。かつ、インターネットスピードが遅くてやや音声が悪いときは、聞き慣れない英語だと理解するのが難しい時があります。今日に限って、、、という感じでした。
こんなときは→
やはり、前日の様子からもしものときに備えて、別の先生とも状況の共有を行いました。準備の仕方やファシリテーションの仕方についても共有して、別の先生が主で担当してもらう形にすぐに切り替えました。最初は少し慣れないところもありましたが、すぐに理解しあって、順調に交流を行うことができました。
準備していたことが、当日発揮できないことはあります。使いたい機材が使えないとか。これについても、もうどうしようもないので、わかった瞬間にすぐに切り替えて、考えられるベストな選択肢で取り組むようにしています。このときは、当初の想定したいたものと比較したりするのではなく、その時の最善、に頭を切り替えることが大切だと思います。
結果として、ファシリテーションに慣れている先生のときよりも、生徒自らの主体的な発言が少し多くなったようにも感じて、いいことだなと思いました。
2) ネパールより日本のインターネット速度が遅い
海外との交流をしていて、すこしタイムラグが発生したり、映像がカクカクすることがたまにあります。7,8年前のときには、たまにスカイプが途切れて切断されていましたが、最近ではそういったことはほとんどなくなってきています。
映像がカクカクしたときにこんな質問をします。
「これは、日本とネパール、どちらのインターネットが遅いと思いますか?」
すると、ほとんどの方が、「ネパール!」と答えます。途上国、きっとそういうイメージなんでしょう。もしくは、日本はきれいで最先端で進んでいる、という意識があるのかもしれません。
毎回インターネットのスピードテストを行っているのですが、実際には日本の(学校の)インターネット速度が遅いときのほうが多いです。海外では、インターネットや通信網は急速に拡大していて、整備されています。
一方日本の学校では、限られたインターネットを多くの生徒が同時に使用したりしていますので、結果として速度が遅くなる傾向があります。日本の学校の環境が悪い、ということではなくて、状況が違います。ただ、「日本は良くて、途上国は良くない」といった無意識の偏見については、子どもたちに気づかせていきたいなと思っています。
今回の交流においても、放課後に先生と行った事前テストでは問題なかったですが、授業中になるとやや遅くなりました。他のクラスも、ギガスクール構想もあいまって生徒さん1人1台デバイスでインターネット接続していたことも影響したようで、少しタイムラグが発生する、そんな状況でした。
これに対しては→
その状況を生徒に伝えて、「タイムラグがあるからそれ踏まえてやりとりしようね!」と明るく伝えると、子どもたちはそのタイムラグの感じも楽しみながら参加してくれるようになります。このあたりは、大人と少し違うところかもしれません。
タイムラグは、発生するときはある。急にはなくせない。それなら、それを楽しむ方向へ。
3) ストライキが起こり生徒が来れない
先生が体調不良で学校に来れないことが分かった次には、こんな連絡がありました。
「今日、ストライキがカトマンズ全体で発生している。お店も学校もクローズです」
と。もう、日本の学校との交流1時間前。おーーー、そうなのか、と焦笑。どうするものかと考えていると、次のメッセージがきました。
「でも大丈夫!学校内の寮に滞在している生徒がいて、彼らが楽しみにしているので、彼らは参加するよ」
と。大変な状況に打ちひしがれているときに、次の代替案を出して明るく動いてくださる方がいると、本当に救われます。感謝感謝です。突然の対応等は、なんやかんや調整とか大変だったりもします。そこを前向きに取り組んでくれる現地の先生がさらに好きになりました。
海外との交流では、いろんなことが発生します。「このタイミングでそんなことある!?」みたいな、映画のようなこともあります。
停電、ストライキ、パソコンが壊れる、なんらかのトラブルは、起こらないほうが珍しいのかもしれません。今まで、さまざまな国で活動をしてきましたが、どの国においてもそうです。
そう考えると、何らかのトラブルがあるほうが一般的、マジョリティで、何もトラブルなく予定通り進むほうがマイノリティ、異常と捉えたほうがいいのかもしれません。日本では、時間通りぴったり、予定通り進行されることがよしとされているかもしれませんが、これからの予測ができない時代。変化や予想できないことが起こることが前提で、それを楽しみながら対応できるスタンスのほうが、求められるのかもしれません。
4) 自分の携帯電話が圏外に
海外の学校とは、2014年くらいからZoomを使用しています。コロナ禍になってZoomが一気にひろがった印象があり、機能のアップデートも加速した感じがあります。5,6年前には相手もZoomを使用していなかったので、事前の説明が大変でしたが、最近ではリンクを送るだけでよくて、本当にやりやすくなりました。
そんなZoomで交流するのですが、事前事後等細かな連絡は、スマホのメッセンジャーで現地の先生とやりとりをしています。
「準備できた?」「 もうちょっと待って」とかを伝えたり、「あ、いま停電した!すぐ復旧するから1分待って」とか。こういった形で、現地の状況がわかるだけでも、生徒にも伝えられるので助かります。交流の際は、スマホでのバックアップラインを事前にもっておくことが大切です。
なんですが、私はつい最近、楽天アンリミットという楽天回線(e-sim)に切り替えたばかりです。以前も楽天モバイルだったのですが、使用する回線が違い、どういった場所で圏外になるのかの理解がまだありません。そして、楽天回線になったり、副回線になったりするのですが…それもあり、いざ交流前でメッセージを送りたいときに、「圏外」ってなっていました。えっ!!?
学校のインターネット環境は、セキュリティ管理の観点から、学校のデバイス以外がインターネットに接続することはできません。無線LANが飛んでいますが、それにつなげないんです。私は、圏外でした。(ただ、たまたま圏外だったようで、楽天アンリミット自体は快適に使っています!)
こんなときは→
まずは、冷静に、スマホを一瞬フライトモードにして、再度電波を取り込めないかを確認しました。すると、その後10秒くらいしたら電波入りました!よかった!
そんなこんなで、一瞬焦りましたが、なんとか事なきを得た、そんなところでした。こんな経験があったので、二回目からはバックアップ体制をとることにしました。
普段からその学校にいる先生が使用しているスマホは、ほとんど圏外になっていないとのことでした。なので、現地の先生と日本の先生のメッセンジャーでグループを作成し、何かあればそこでやりとりをさせてもらう(先生のスマホをお借りする)という体制を整えることにしました。
ひやりはっとするようなことが起これば、そのときは全力で対応する。事後には、今後も起こるかもしれないと想定し、冷静に対応策を考え、システムに盛り込んでおく、ということが大切ですね。そして、この経験値の積み重ねが、レベルアップには必須なんだと思います。つまり、ひやりはっとを、歓迎したほうがよさそうですね。準備を入念にした上で。
5) 休み時間が5分の間で移動と準備をしないといけない
1学年4クラスある学校さんで、各クラスごとでの交流をサポートしました。1組が終われば、次は2組です。
自分が小学生のときには、基本的には休み時間は10分で、2時間目と3時間目の間は20分休み、お昼休みはたっぷりあったように記憶しています。
ただ、最近は変わっているようです。休み時間は、5分しかないところもあります。今回も、3時間目と4時間目の間は5分休憩、とのことでした。私も大変でしたが、これを小学校の先生は毎日対応されていると思うと、本当にすごいです。授業の内容も変わるし準備もしないといけないし、雰囲気も作り直さないといけないし、結構タフでした。
私も、授業が終わればすぐに移動して、と思いますが小学生は普段見ない大人と話したいのか、いろいろ話しかけてくれます笑。それに対応しつつ教室を移動し、場所をセットアップしてZoomをつなぎ直し、、、さらには、「新しい先生ですか?何歳ですか?」みたいな質問にその5分休みの間に応対しながら、という感じです笑。
5分って厳しいなー、っと最初は思っていましたが、いざやってみると、なんとかなるものですね!さすがに、トラブルとかあると生徒さんを待たせてしまうことになるので、できれば避けたいところですが、それも含めてしょうがない、と先生方も理解してくださっていたので、一緒に協力して取り組むことができました。
落ちついて安心してじっくり準備したい、そんな気持ちもあると思いますし、はらはらする気持ちって、なかなか良いものではないとは思います。ただ、限られた時間でなんとか結果を出す、ということに向かう感じも、ときにはいいのかなと思いました。そして、その経験が、また人を強くする(前向き)。
大変さの中に、人のあたたかさと学びがある。
ということで、現場で実際に起きた大変なことと、それへの対応について書いてきました。そのときには、一生懸命発生した課題に対応するべく頭をフル回転させていますが、こうやって振り返ると、なんだかいい思い出というか笑。あーそういうこともあったな、みたいな。
逆に、全ては予定通りとんとんと進んだとしたら、逆に物足りないくらいになってきているのかもしれません笑。
大変なこと、予想しなかったトラブル等があると、わーーーー(>_<)っと思ったりもしますが、終わってみれば、そういうことがあったから人の優しさにふれることができたり、人に助けてもらう感覚を得たり。有り難いなと思っています。
日本では、「人に迷惑をかけない」ということが大切で、そうやって教わることが多いと思います。結果として、「人に迷惑をかけることは、あってはならないだめなこと」みたいに思われているかもしれません。
でも、実際には、生きていると、そして頑張っていると、何らかの形で人に迷惑はかけてしまうものなのではないかなとも思います。つまり、迷惑をかけることが悪いのではなくて、迷惑をかけているんだから、意識的に人に優しくすること、感謝することが大切なのではないかなと思います。
「迷惑をかけないように大人しくしていて、自分はちゃんとしています」みたいになっていても、実際には気づかぬところで誰かのお世話にはなっています。人の力を借りる、人の助けを借りるということを受け入れ、感謝の気持ちを常に持てるような人でありたいと思います。
こういった日々のことを通して、自分自身のみえる世界もひろげていきたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、また日本と海外の学校をつなぎにいってきます!
では、また。
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