第20回統一地方選挙前半戦の意味を考えるためのいつくかの視点

昨日、第20回統一地方選挙の前半が行われ、9道府県知事選挙や6政令市長選挙などが行われました。

今回は大阪府知事と大阪市長の「大阪ダブル選挙」や奈良県知事選挙に勝利し、さらに埼玉、千葉、神奈川の各県議会選挙で議席を獲得するなど日本維新の会が勢力を伸張させたことが大きな特徴となりました。

一方、立憲民主党は前身の民主党以来の地盤であった北海道や大分県の知事選挙に敗れるなど、41道府県議選での獲得議席こそ自民党に次ぐ第2位ではあるものの[1]、支持の伸び悩みが示されました。

また、自民党は保守分裂となった奈良県と徳島県の知事選挙で敗れており、統一地方選挙の後半や衆参両院の5つの補欠選挙への懸念を抱かせるものでした。

このように見れば、今回の統一地方選挙前半は関西圏のみに留まって来た日本維新の会の勢力がわずかずつではあっても他地域に広がりを見せていることを推察させるとともに、政権党である自民党と野党第一党である立憲民主党が抱える問題点が明らかになったと言えるでしょう。

特に最も痛手をこうむった人物を挙げるとすれば、奈良県連会長として知事選を差配しながら、現職だった荒井正吾候補と自ら擁立を主導した平木省候補の一本化を実現できなかった高市早苗国務大臣となります。

何より、高市国務相が自民党本部に平木氏の推薦を求めたにもかかわらず実現しなかったこと[2]は、一方で高市氏の調整能力に疑問を抱かせるものであるとともに、2021年の総裁選挙で岸田文雄首相に次ぐ国会議員票を獲得した勢いを削ぐことが予想されます。

それだけに、統一地方選挙の後半で日本維新の会の議席がどこまで積み増されるか、自民党や立憲民主党がどこまで勢力を維持し、あるいは劣勢を挽回できるかという点とともに、国政においては高市氏が自民党内での求心力を維持できるかという点が注目されるところです。

[1]41道府県議選の党派別当選者数. 日本経済新聞, 2023年4月10日朝刊3面.
[2]奈良知事選、高市氏に痛手 地元入り「かえって逆効果」. 日本経済新聞, 2023年4月10日, https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA069EQ0W3A400C2000000/ (2023年4月10日閲覧).

<Executive Summary>
Some Viewpoints to Understand a Meaning of the First Half of the Unified Local Elections 2023 (Yusuke Suzumura)

The first half of the Unified Local Elections 2023 was conducted on 9th April 2023. On this occasion, we examine a meaning of the elections focusing on the Japan Innovation Party's exapnsion and damage to State Minister Sanae Takaichi.

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