「斎藤佑樹選手の引退表明」の一報に接して思ったいくつかのこと

昨日、北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹選手が今季限りでの引退を表明しました[1]。

右ひじの怪我の影響などもあって昨季以来1軍の公式戦での登板がなかっただけに、「今年1年で結果が出なかったという思いでやってきた。それが一番かな」[1]と理由を挙げたことは、去就が注目された中で斎藤選手が葛藤していたことを推察させます。

斎藤選手はファイターズに入団した後は高校、大学時代のような顕著な活躍を示すことはありませんでした。

その一方で、2006年の全国高等学校野球選手権大会において、駒澤大学附属苫小牧高等学校の田中将大投手との投げ合いを制して優勝したこと、さらに2007年4月に入学した早稲田大学では、東京六大学野球連盟を代表する投手として活躍するなど、顕著な成績を上げました。

特に、東京六大学野球での初登板となった2007年4月14日(土)の東京大学戦では、開幕戦としては前年の4倍を超える1万8千人が来場しており[2]、斎藤選手の人気の高さが窺われました。

この日は日本テレビでの実況中継も行われており、放送時間の兼ね合いから1回しか取り上げられなかったものの東京六大学野球の公式戦が地上波で取り上げられる様子を感慨深く思ったものでした。

このように、斎藤選手は、有望な選手が他の連盟に所属することで実力が相対的に低下し、人気の面でも翳りの見えていた東京六大学野球を活性化することに寄与しただけでなく、大学野球界全体への注目度の上昇にも貢献しました。

従って、プロ選手としての評価は今後定まるとしても、アマチュア球界において果たした役割の大きさを見逃すことは出来ないと言えるでしょう。

そして、引退後に球界とどのように関わるか、あるいは野球界から離れていかなる分野に進むかにかかわらず、これからの一層の活躍が願われるところです。

[1]日ハム斎藤今季で引退. 日本経済新聞, 2021年10月2日朝刊37面.
[2]佑ちゃん、神宮春風. 朝日新聞, 2007年4月15日朝刊34面.

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of Mr. Yuki Saito (Yusuke Suzumura)

Mr. Yuki Saito, a pitcher of the Hokkaido Nippon-Ham Fighters, retires at the end of the 2021 season. In this occasion I express miscellaneous impressions of Mr. Saito.

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