得票数と得票率でみる東京都知事選挙

7月5日(日)に投開票が行われた東京都知事選挙について、再選を果たした小池百合子都知事がいかなる課題に取り組むべきかについては、昨日の本欄[1]で検討した通りです。

そこで、今回は投票数及び投票率に基づき、都知事選を概観したいと思います。

まず、前回2016年の選挙と今回に連続して出馬した候補者7名の得票数の推移に関して、都全体の得票数及び得票率の増減について6候補が増加する中で、七海ひろこ候補のみ減少したことが分かります(表1)。

表1 東京都知事選挙における得票数及び得票率の比較(2016年及び2020年)

20200707表1 東京都知事選挙における得票数及び得票率の比較(2016年及び2020年)


次に、2014年と2020年の都知事選に立候補し、いずれも次点となった宇都宮健児候補について、両年の結果を比較したところ、得票数については2020年は2014年の0.86倍、得票率については、2020年は2014年に比べて都全体で6.42ポイントの減少となりました(表2)。

表2 東京都知事選挙における宇都宮健児候補の得票数及び得票率の比較(2014年及び2020年)

20200707表2 東京都知事選挙における宇都宮健児候補の得票数及び得票率の比較(2014年及び2020年)


また、今回初めて立候補した山本太郎候補について、試みに山本候補を公認したれいわ新選組が2019年の参議院議員選挙で東京都選挙区の比例代表獲得した得票数と今回の都知事選挙での山本候補の得票数を比較しました。


その結果、山本候補の全都の得票数は1.43倍、得票率についても2.77ポイントの増加となっています(表3)。


表3 れいわ新選組の得票数及び得票率の比較(2019年参議院議員選挙及び2020年東京都知事選挙)

20200707表3 れいわ新選組の得票数及び得票率の比較(2019年参議院議員選挙及び2020年東京都知事選挙)

同様に、第4位の得票数を記録した小野泰輔候補を推薦した日本維新の会についてみると、2020年の都知事選の得票数は2019年の参議院議員選挙に比べて1.28倍、得票率については1.66ポイント増加しています(表4)。


表4 日本維新の会の得票数及び得票率の比較(2019年参議院議員選挙及び2020年東京都知事選挙)

20200707表4 日本維新の会の得票数及び得票率の比較(2019年参議院議員選挙及び2020年東京都知事選挙)


これに対し、宇都宮健児候補を共同で支援した立憲民主党、共産党、社会民主党の三党の得票数及び得票率について、2020年の都知事選の得票数は2019年の参議院議員選挙の0.48倍の得票となっており、得票率についても17.00ポイントの減少となっています(表5)。


表5 野党三党の得票数及び得票率の比較(2019年参議院議員選挙及び2020年東京都知事選挙)

20200707表5 野党三党の得票数及び得票率の比較(2019年参議院議員選挙及び2020年東京都知事選挙)


参議院議員選挙の比例代表制と都知事選挙では選挙の制度そのものが異なるため単純に比較はできません。


しかし、共同通信社による出口調査では、宇都宮健児候補を支援した各党の支持層は、立憲民主党が45.9%、共産党が60.9%とされています[2]。

2019年の参議院議員選挙における比例代表では、立憲民主党が1,020,185.112票、共産党が651,338.262を獲得しています[3]。そのため、都知事選での宇都宮候補の得票数844,151.000票は両党の2019年の得票数に出口調査での回答として得られた割合を掛けた468,264票と396,664票の合計である864,928票を下回ります。


こうしたことから、れいわ新選組と日本維新の会は2019年の参議院議員選挙に比べて今回の都知事選挙で支持を拡大したのに対し、立憲民主党、共産党、社会民主党は三党の連携の効果を必ずしも発揮できなかったことが推察されます。

[1]鈴村裕輔, 都知事選で圧勝した小池百合子都知事は何をなすべきか. 2020年7月6日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/fd6ae6fed61efb74e8516c5e28a02b14?frame_id=435622 (2020年7月7日閲覧).
[2]自公支持8割、小池氏に. 日本経済新聞, 2020年7月6日朝刊2面.
[3]参議院(比例代表選出)議員選挙 政党等別得票総数 開票区別一覧. 東京都選挙管理委員会, 2019年7月22日, https://www.senkyo.metro.tokyo.lg.jp/uploads/r1san_hirei_kaihyo_seitoubetu.pdf (2020年7月7日閲覧).

<Executive Summary>
The Tokyo Governor Election 2020 Examined from the Voting Results (Yusuke Suzumura)


The Tokyo Governor Election 2020 was conducted on 5th July 2020. In this occasion we examined the resuls of the voting.

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