「2022年のプロ野球の開幕」に寄せて

本日、日本のプロ野球の2022年の公式戦が始まります。

今季は、開幕戦の時点で各球場での入場制限などが行われず、2019年以来3年ぶりに通常の形式で試合が開催されることになります。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、2020年の無観客、2021年の入場者数の制限を経て、入場制限が撤廃されたのは、これまで球場における集団感染を発生させず、段階的に規制の緩和を目指してきた球界関係者の努力のたまものです。

ところで、今年はホーレス・ウィルソンが1872(明治5)年に第一大学区第一番中学の在校生に野球の手ほどきを行った「野球伝来」から150年となります。

プロ、アマを問わず日本の球界にとって大きな節目となる年に、通常の形式でプロ野球の公式戦が行われることは大変に意義深いものです。

さらに、今年は現在のプロ野球の前身であり7球団で発足した日本職業野球連盟に8番目の球団として後楽園イーグルスが参加してから85年目に当たります。

大リーグ流のフランチャイズの考えに基づき、「球場が球団を所有する」という形で球団と本拠地の一体化を進めた後楽園イーグルスは、加入1年目が終わると後楽園スタヂアムが経営から撤退します。

また、1937(昭和12)年に始まった日中戦争の長期化に伴う時局の悪化や野球用語の日本語化の影響を受けて球団名が変わるなど、イーグルスの歩みは困難の連続でした。

しかも、1941(昭和16)年12月の対米開戦以降、当初は日本側が優位に戦いを進めていたものの、次第に米国側が劣勢を挽回するようになります。

そして、1943(昭和18)年には、連盟が存続していたにもかかわらず自主的に球団を解散したことで、戦後のプロ野球の再開に際して、実質的な後継球団である東京カッブスの加盟が却下され、イーグルスの球団としての系譜は途絶えることになります。

こうしたこともあり、現在、後楽園イーグルスからイーグルス、黒鷲軍、大和軍と続く球団の歴史は大きな注目を集めることはありません。

それだけに、1937年に発足した球団の創立85周年という2022年に、人々が何らかの注意を向けることがあればと願うところです。

<Executive Summary>

Miscellaneous Impressions for the Opening Day of the Japan's Professional Baseball of 2022 (Yusuke Suzumura)

The Japan's Professional Baseball of 2022 opens today. In this occasion I express miscellaneous impressions of Japan's baseball based on a historical viewpoint.

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