【参加報告】EToSシンポジウム「都市の表象文化 アニメ・特撮における東京」

昨日、13時から17時までオンライン形式により法政大学江戸東京研究センター(EToS)の「テクノロジーとアート」プロジェクトチームの主催するシンポジウム「都市の表象文化 アニメ・特撮における東京」が開催されました。

今回は、1970年代まではセットとロケ撮影を組み合わせるながら描かれてきたきたものの、1980年代の撮影所システムの崩壊により大掛かりなセットの設置が難しくなり、ロケ中心の撮影になり、2000年代以降は中心部の表現がほとんどなされなくなった映画における東京の位置付けの変化と、実写映画に代わり積極的に東京の描写を行ってきたアニメ映画を取り上げ、都市の表象のあり方が検討されました。

登壇したのは3名で、まずEToSの「テクノロジーとアート」プロジェクトリーダーの岡村民夫先生(法政大学)が「アニメ・特撮における東京表象の意義」と題して基調講演を行い、実写映画における東京の描写の変遷の検討とアニメ映画の描く東京が綿密な調査と研究に基づいてなされる構造の考察が行われました。

次に、安智史先生(愛知大学)と赤坂憲雄先生(学習院大学)の講演が行われました。

安先生は「特撮映画の東京-1950~60年代、東宝SF映画を中心に」と題して講演され、1950年代から1960年代の東宝映画のSF作品を主たる対象として東京の描かれ方を検討し、2016年の映画『シン・ゴジラ』との対比を通して1954年の映画『ゴジラ』におけるゴジラの東京上陸後の経路の特徴などが考察されました。

また、赤坂先生の論題は「ジブリアニメの武蔵野」で、映画『となりのトトロ』(1988年)や『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)などのスタジオジブリの作品に描かれる武蔵野の情景について、描写や表現の特徴を国木田独歩の『武蔵野』など武蔵野を題材とした文学作品などの比較を行いつつ、検討されました。

最後に、EToSの山本真鳥先生、横山泰子先生、岩佐明彦先生がコメンテーターを務め文化人類学、妖怪学や図像学、そして都市論や建築学の観点から、議論を行いました。

「フランスの映画監督にとってパリを表現することや、アメリカの映画監督にとってニューヨークやロサンゼルスを描くことは代々受け継がれてきた歴史的な使命のようなものであり、日本の映画監督にとって東京を描くことも同様であったにもかかわらず、何故、現在の日本の実写映画は東京の中心部を表現できず、その一方でアニメ映画や特撮映画は東京を取り上げ続けるのか」という趣旨の岡村先生の基調講演における問題提起を引き受けつつ、それぞれの視点からアニメ映画と特撮映画における東京の役割が検討された今回のシンポジウムを通して、東京という都市の持つ特徴と文化的な意味の一端が明らかにされたと言えるでしょう。

<Executive Summary>
EToS' Symposium "Culture and Representation of a City: Tokyo Described in the Animation Movie and the Special Effects Movie" (Yusuke Suzumura)

The Hosei University Research Center for Edo-Tokyo Studies held a symposium entitled "Culture and Representation of a City: Tokyo Described in the Animation Movie and the Special Effects Movie" via Zoom on 17th July 2021. In this time one key note speech and two lectures were available.

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