「カルロ・マリア・ジュリーニの誕生日」で思い出した「ジュリーニの印象的な録音」

今日は、指揮者のカルロ・マリア・ジュリーニの誕生した日です。1914年5月9日のことです。

20世紀を代表する大指揮者の一人であるジュリーニの音楽については数多くの録音や映像を通して広く知られるところであり、今なお高い人気を誇ります。

そこで、今回はジュリーニの録音の中から、とりわけ私が印象的に思う3点をご紹介いたします。

最初に取り上げるのは、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団とのドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」(1992年録音)です。

交響曲の代表的な作品であり、「通俗名曲」の典型でも「新世界より」は一貫して洗練された演奏であり、特に第4楽章のフィナーレの第1主題への入り方が絶妙な録音となっています。

次は、1993年にバイエルン放送交響楽団と実況録音した、シューベルトの交響曲第8番「ザ・グレイト」です。

第1楽章の冒頭のホルンから第4楽章の華やかな終わりまで、シューベルトの大交響曲を細部まで丁寧に彫琢する様子はジュリーニの芸術の精華の一つというべき録音で、この作品の魅力を余すことなく伝えます。

そして、最後はフィルハーモニア管弦楽団と1989年に録音した、モーツァルトのレクイエムです。

リン・ドーソン(ソプラノ)、ヤルト・ヴァン・ネス(アルト)、キース・ルイス(テノール)、サイモン・エステス(バス)と人を得た独唱陣とともに、悠然とした速度により各声部の繋がりを明瞭に浮かび上がらせるジュリーニの手腕の確かさにより、聞きごたえのある仕上がりとなっています。

もちろん、これ以外にも優れた録音は多数あるので、これを機会により多くの方がジュリーニの芸術に触れることを願うところです。

<Executive Summary>
Selected Records Conducted by Carlo Maria Giulini (Yusuke Suzumura)

The 9th May is the birthday of Mr. Carlo Maria Giulini born in 1914. In this occasion I introduce three selected records conducted by Mr. Giulini.

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