第26回参議院議員通常選挙に勝利したのはどの政党か

昨日第26回参議院議員通常選挙の投開票が行われました。投票率は52.05%で、2019年の参院選より3.25ポイント高いものの、過去4番目に低い値となりました[1]。

その結果、自民党が改選55議席を上回る63議席を獲得したほか、日本維新の会が改選前の6議席から12議席、れいわ新選組が改選前の0議席から3議席、参政党が同じく0議席から1議席を獲得しました。一方、改選前から勢力を後退させたのは、連立与党の公明党、野党第一党の立憲民主党く加え、国民民主党、共産党で、社民党及びNHK党の議席数に変化はありませんでした(表1)。

表1 第26回参議院議員通常選挙の結果

今回の選挙では自民党が改選125議席の過半数を単独で占めるとともに、関西地域を地盤とする日本維新の会が神奈川選挙区で議席を獲得するなど他地域への勢力を拡大したことから、両党の伸張に注目が集まるのは当然のことです。

また、昨年10月の総選挙での敗北の責任を取る形で枝野幸男氏から泉健太氏へと代表が後退した立憲民主党は退潮に歯止めがかからないことから、党勢の回復が急務となることが改めて示されたと言えるでしょう。

しかし、自民党は比例代表の得票を2019年よりも上積みしたものの2000万票台を獲得した2016年に比べれば勢いを欠くとともに、日本維新の会も重点的に取り組んだ京都選挙区で当選者を輩出できなかったことは痛手でした。

あるいは、立憲民主党と国民民主党の得票数と得票率の合計は両党の淵源である民進党が2016年の参院選で獲得した結果に及ばなかったことは、勢力の退潮は2つの党に共通の現象であることを推察させます(表2)。

表2 立憲民主党、国民民主党及び民進党の参議院議員選挙における得票数及び得票率

一方、今回注目すべき点は、初めて国政選挙に臨んだ参政党が議席を獲得するだけでなく得票率が2%を超えて政党要件を満たしたことです。

これはれいわ新選組やNHK党など先発の新興勢力を含めて、既存政党にとって衝撃的と言える出来事となります。

何故なら、参政党の選挙戦の進め方は、前回の参院選でNHKから国民を守る党、すなわち現在のNHK党が行った、公示時点では知名度がなくとも、選挙期間中に動画配信サービスやSNSなどを活用してオンライン上での情報発信を積極的に行えば一定の成果を挙げるという結果を再現したものであり、この手法の有効性を実証したからです。

今後、今回の参院選は選挙戦のさらなる近代化を進めた戦いであったと記憶されることでしょう。

その意味で、昨日の参院選の勝者は自民党でも日本維新の会でもなく、参政党であったのかも知れません。

[1]確定投票率52.02%. 日本経済新聞, 2022年7月11日夕刊3面.

<Executive Summary>
Which Is a Winning Party of the House of Councilors Election 2022? (Yusuke Suzumura)

The House of Councilors Election 2022 was held on 10th July 2022. In this occasion we examine a winning party of the election based on the campaign.

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