所得税減税政策発表後も岸田文雄政権の支持率が低迷するのは何故か

現在、各種世論調査で岸田文雄政権への支持率の低下が続いています。

支持率が全てではなく、右顧左眄しない政権の運営は重要です。

それでも、来年9月に自民党総裁選挙を控え、「選挙の顔」という点が再選には不可欠な岸田文雄首相にとって、事態は憂慮すべきものではあっても楽観を許すことはありません。

特に、所得税減税という、物価高騰が家計に影響を与えている多くの国民にとって好ましいと思われる方針を打ち出したにもかかわらず支持率が上向かないという状況は、岸田首相にとって不可思議な事態と言えるかも知れません。

しかし、一方で防衛費を2027年度までに現在のGDPの概ね1%程度という水準を2%まで引き上げるとしながら財源の問題で与党内の意見を集約できず、他方で所得税減税という財源の縮小をもたらす政策を提唱するという点は、政策の一貫性だけでなく、岸田首相が何を目指しているかという政策の方向性においても、人々に疑念を抱かせるものであるということは重要です。

すなわち、国民は恒久的ではない所得税減税はその反動として増税をもたらすことを見抜いているばかりでなく、目的が見えにくく一貫性を欠く政策が将来的に国民にさらなる負担増加をもたらすことを察知しています。

従って、岸田首相に求められるのは国民の目先の歓心を買うための政策ではなく、たとえ一時は負担を強いられるとしても、明確な目標を持ち、その見通しを国民に対して具体的に説明する力ということになるでしょう。

こうしたところに、「聞く力」を強調することはあっても「伝える力」に言及することの少ない岸田首相が改善すべき点があるとともに、その場しのぎの政策に賛成するほど国民の政治に対する関心は低くないのです。

<Executive Summary>
Why Is the Approval Rating of the Fumio Kishida Cabinet Low? (Yusuke Suzumura)

Even after the announcement of the Income Tax Reduction, the approval rating of the Fumio Kishida Cabinet is low. On this occasion, we examine the structure of this phenomenon.


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