「真砂勇介選手のWBC中国代表選出」はいかなる意味を持つか

現地時間の2月9日(木)、今年3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する全20チームの登録選手が発表されました。

今回は、大リーグ登録40人枠に含まれる選手が186人登録されており[1]、これまでの大会に増して迫力のある試合が行われることが予想されます。

日本代表については、セントルイス・カーディナルスに所属するラーズ・ヌートバ―選手が、日系米国人二世として代表に選出されたことが注目を集めています。

一方、他の国や地域の代表についてみると、中国代表に2022年をもって福岡ソフトバンク・ホークスを引退した真砂勇介選手が選出されたことが注目されます。

2012年のドラフトで4位で指名され、京都府立西城陽高等学校からホークスに入団した真砂選手は、「右の長距離打者」として将来を嘱望される存在でした。

選手層の厚いホークスにあっては1軍の試合に出場する機会には恵まれず、2021年の79試合が最多であり、2017年から2022年までの通算成績は180試合に出場して打率.219、本塁打3、打点16、出塁率と長打率を合わせたOPSは.580でした。

しかし、二軍では2020年から2022年にかけて毎年OPSが8割を超えるなど[2]、期待された能力の一端を発揮してきました。

ところで、今回のヌートバー選手や真砂選手は、両親のいずれかが当該国や地域の出身であるかパスポートを所有している場合、本人の国籍にかかわらずその国や地域の代表になれるというWBCの規定に基づき、日本代表もしくは中国代表として登録されています。

こうした取り組みは一面において戦力の均衡をもたらすとともに、他面では2020年以来大リーグ機構が積極的に進める球界の人的、制度的な多様化の一層の促進という方針に沿うものです。

もちろん、1度の措置が状況に大きな変化をもたらすことはありません。

それでも、WBC参加国の中でも屈指の強豪である日本や、重要な参加国である中国がこうした選手の登録を行うことの持つ意義は決して小さくないものです。

従って、3月の大会の中でこうした選手がどのような活躍を示すかを含め、今後の動向が注目されるところです。

[1]メジャー186人 豪華顔ぶれ. 読売新聞, 2023年2月11日朝刊13面.
[2]Yusuke Masago. Baseball Reference, Year Unknown, https://www.baseball-reference.com/register/player.fcgi?id=masago000yus (accessed on 13th February 2023).

<Executive Summary>
Mr. Yusuke Masago's Registration as Chinese Representative for the WBC Has an Important Meaning for the Future of Baseball (Yusuke Suzumura)

Mr. Yusuke Masago, a Former Outfielder of the Fukuoka SoftBank Hawks has selected as Chinese Representative for the WBC 2023. On this occasion, we examine a meaning of this selection for the future of baseball.

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