「新幹線の公衆電話終了」で思ったいくつかのこと

昨日、JR5社が運行する新幹線において、公衆電話の利用が終了しました。

これは、近年携帯電話の普及により新幹線内に設置した公衆電話の利用状況が低下したことと、トンネル内などを含むすべての新幹線で携帯電話の利用が可能になったこによる措置です[1]。

食堂車両の廃止やこだま号における車内販売の中止、あるいは全車両での文字ニュースの取りやめなど、新幹線は時代の変化に対応してきましたから、今回も現状に鑑みれば当然の施策と言えるでしょう。

実際、車内で携帯電話を利用する人はいるものの人数は決して多くなく、携帯電話が普及したり電波の状況が改善される以前から新幹線の乗車時に公衆電話を使用する人そのものも少ないように思われたものです。

これは、新幹線の高速化の進展により移動中の車内で電話を利用するよりも乗車の前後に電話する方が確実であることや、移動時間を気分転換や休息に充てる人が多いことを推察させます。

ところで、私自身に関しては、新幹線の中で公衆電話を利用したのは2003年8月の1回のみでした。

この時は宅配業者の押す台車とぶつかった母が転倒して負傷したという一報が届き、状況の確認と事後処理の手配を行うために利用しました。

最初は手持ちのPHSを使用したものの、移動中の新幹線ではPHSの電波の具合が芳しくなかったため、公衆電話を利用したものでした。

確かにこの18年間で携帯電話などの電波の状況の改善を考えれば、火急の要件がなければ公衆電話を利用する必要さえないかも知れないと思われるものです。

それだけに、1965年6月1日に東海道新幹線で始まった列車公衆電話サービス[2]の終了は、新幹線の不断の変化を告げる新たな証拠の一つと言えるでしょう。

[1]新幹線における列車公衆電話サービスの終了について. 東日本旅客鉄道, 2021年3月18日, https://www.jreast.co.jp/press/2020/20210318_ho03.pdf (2021年7月1日閲覧).
[2]西日本電信電話会社編, データブックNTT西日本2020. 西日本電信電話会社, 2020年, 275頁.

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of the Abolishment of Public Payphones on Shinkansen (Yusuke Suzumura)

Five JR companies abolished public payphones on shinkansen which have started in 1965 on 30th June 2021. In this occasion I express miscellaneous impressions of public payphones on shinkansen.

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