国会議員は「銀座の夜問題」を他山の石と出来るか

昨日、衆議院議員の松本純、田野瀬太道、大塚高司の3氏が自民党を離党するとともに、公明党の衆議院議員遠山清彦氏が議員を辞職しました。

これは、松本氏ら自民党の3氏は新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた緊急事態宣言の発令期間中に深夜に、また遠山氏も3議員とは別に、緊急事態宣言発令中に東京都内の飲食店を利用していたことを受けたものです[1]。

飲食店を利用することそのものは日常的な活動の一環であるとともに、国会議員の役割の一つである、選挙区や支持団体、あるいは官公庁や自治体などの陳情を受ける際にも、直接面会することは重要です。

その意味でも、4氏の行為そのものは問題ないと考えることが出来ます。

その一方で、平常時であれば許される行為でも、緊急事態宣言の発令地域である東京都において、飲食店に営業の自粛が求められる20時以降に店舗を利用していたという点は、行政府が発令した宣言を立法府の構成員が遵守しないという意味において、看過しがたいものです。

もとより、国会議員に道義的な高潔さを求めることは理想的ではあっても現実的ではなく、実際には有能ではあっても規範意識の低い者もいれば、遵法精神に富んではいるものの能力の点で不十分なものもいることでしょう。

また、国会議員自身も、自らの行動が国民の手本となることを求められているとは考えていないかも知れませんし、適切さを欠く行動であると理解していても、事柄が明らかになるとは予想していなかったかも知れません。

しかし、「天網恢恢疎而不失」という言葉を俟つまでもなく、あらゆる行為は露見する可能性を秘めている以上、4氏の行動は不適切であったばかりでなく不用意であったということが出来ます。

何より、自らの行動がどのような影響を与えるかという点を想像できなかったことが、4氏にとっては大きな躓きであったのです。

今後も、党派を問わず類似の出来事は起きることでしょう。それだけに、国会議員の各位にはくれぐれも今回の一件を他山の石とすることが求められるのです。

[1]自民・松本氏ら3氏離党. 日本経済新聞, 2021年2月2日朝刊1面.

<Executive Summary>
Why Is Four Diet Members' Behaviour Not Acceptable? (Yusuke Suzumura)

Four Members of the House of Representatives left the party or step down from the legislature on 1st February 2021. It might be the result of a lack of the power of imagination.

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