【追悼文】松本零士さんについて思い出すいくつかのこと

去る2月13日(月)、漫画家の松本零士さんが逝去されました。享年85歳でした。

松本さんは『宇宙海賊キャプテンハーロック』や『銀河鉄道999』など、テレビアニメ化された作品を含め、多くの漫画を手掛けたことで広く知られます。

私も松本さんの原作によるテレビアニメ作品をよく視聴したもので、留まるところを知らない科学の進歩に対する懸念と、最後は科学は人間あってのものであり、科学は万能ではなくすべては人間によるという人間性への深い信頼を湛えた内容には、折に触れて様々な感興を抱いたものです。

また、松本さんの作品はしばしば社会風刺の側面を持っており、例えば『銀河鉄道999』の不定形惑星ヌルーバの逸話は、「容姿や肌の色の違いが無用の差別を生むから、定まった形そのものをなくしたわれわれこそが崇高である」という趣旨のヌルーバ星人の一言が示すように、見えるものと見えないものとの間の相克を鋭く描き出す、子ども向け番組の枠を超える内容でした。

ところで、私が初めて視聴した松本さんのテレビアニメ作品は『銀河鉄道999』で、私が幼稚園に通っていた頃に放送されていたということもあり、仲の良いお友だちと「ぼくはこれ」「ぼくはこれ」とレゴブロックで作品に登場する車両を真似て作ったものでした。

私が好きだったのは銀河鉄道777で、白を基調とした配色と洗練された未来的な車体の造形は大変好ましく、一生懸命に組み立てたのも、今では懐かしい思い出です。

著作権に関する問題など、作品を巡る課題とも向き合った松本さんは、日本の漫画とテレビアニメの発展に大きく貢献しました。

改めてご冥福をお祈り申し上げます。

<Executive Summary>
Miscellaneous Memories of Professor Leiji Matsumoto (Yusuke Suzumura)

Professor Leiji Matsumoto, a manga artist, had passed away at the age of 85 on 13th February 2023. On this occasion, I remember some memories of Professor Matsumoto.

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