「新大関御嶽海」は角界に新風を吹き込めるか

昨日、日本相撲協会は大相撲の東関脇御嶽海の大関への昇進を決定しました。新大関の誕生は2020年9月場所後に昇進した正代以来となり、長野県出身の大関は1795(寛政7)年3月場所の雷電以来227年ぶりとなります。

今年1月場所で3度目の幕内優勝を果たし、2021年は年間で横綱の照ノ富士に次ぐ55勝を記録、三役も28場所務めるなど、御嶽海は角界の実力者でした。

また、2015年3月場所で最初の取り組みをしてから10場所で新三役となったことも、大関候補と嘱望されてきた逸材にふさわしい力を備えていることを示しています。

ただし、格下の相手に敗れたり引き技が裏目に出て勝利を逃すなど、新三役から新大関まで5年の歳月を要し、最終的に年6場所制となった1958年以降の初土俵では史上6番目の年長記録となる29歳1か月での大関昇進となったことも事実です。

この5年間については、技術的、精神的な「成熟のために必要な期間だったのだろう」[1]という指摘があります。これは、優勝後の場所で勝ち星が伸び悩んできた過去2回の状況を見れば、妥当な判断と言えるでしょう。

それとともに、30歳代になって昇進した横綱は全盛期を過ぎているために優勝を重ねることが難しいことは、琴桜、三重の海、隆の里、旭富士、稀勢の里の事例からも明らかです。

その一方で、照ノ富士が両膝を初めとする故障を抱え、先任の大関である貴景勝と正代も成績が振るわないなど、横綱、大関陣も盤石とは言いがたいところです。

従って、「まだ1つ上の番付もあるし、そこを目指して頑張っていく」[1]と横綱を目指す意欲を示した御嶽海には、心身ともに充実した時期を迎えた今こそ、その言葉通り相撲界の頂点に立ち、新風を吹き込むことが期待されます。

[1]成熟を生んだ足踏み. 日本経済新聞, 2022年1月27日朝刊41面.

<Executive Summary>

Will Mitakeumi Be Able to Mark a New Phase in the Sumo World? (Yusuke Suzumura)

Mitakeumi, the Sekiwake of the Professional Sumo, was appointed as Ozeki on 26th January 2022. In this occasion we examine a possibility of Mitakeumi to mark a new phase in the Sumo World as a leading sumo wrestler.

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