許されざる岸田文雄首相への襲撃

本日11時30分前、和歌山市の雑賀崎漁港で衆議院和歌山1区の補欠選挙に向けて岸田文雄首相が演説を行おうとしたところ、会場に発煙筒のようなものが投げ込まれ、爆発音がしました。岸田首相は現場を退避して無事であり、発煙筒を投げ込んだとみられる男性は現場で逮捕されました[1].

選挙活動は議会政治の根幹の一つですから、理由のいかんを問わず遊説に臨む候補者や政治家を狙う妨害行為は決して許されません。

また、浅沼稲次郎の惨事だけでなく安倍晋三元首相の遭難を経験したわれわれは、それだけにこれから選挙活動に臨む人たちの萎縮が起きることを懸念します。

これは、最終的には有権者一人ひとりから候補者や政治家の姿を目の当たりにする機会を奪うことになりかねず、好ましい影響を何ら与えません。

それとともに、「動機が手段を正当化する」あるいは「目的は行動のいかんを問わない」となるなら、その結末がどのようなものになるかは、過去の事例からも明らかです。

従って、今回の出来事も看過できるものではなく、改めて力により政治活動を妨害することを許さないという点をわれわれが確認しなければなりません。

今年5月には主要国首脳会議が広島県で開催されるということもあり、現在警察庁は要人警備の体制の強化に取り組んでいます。

そうした中で起きた一件は、昨年7月8日の安倍元首相襲撃事件でも明らかになったように、選挙応援中の政治家への警察当局の警備体制への懸念を高めるものです。

今回の出来事で岸田首相が無事であったのは不幸中の幸いでした。

それだけに、岸田首相の無事をもって問題が解決されたとするのではなく、当局には予断を排して真相の究明にあたるとともに、より一層の入念で緻密な警備体制の確立を実現することが望まれます。

[1]岸田首相の演説会場で爆発音 和歌山、容疑者の男を逮捕. 日本経済新聞, 2023年4月15日, https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE1510N0V10C23A4000000/ (2023年4月15日閲覧).

<Executive Summary>
What Is a Meaning of the Attack Incident on Prime Minister Fumio Kishida? (Yusuke Suzumura)

Today Prime Minister Kishida was attacked by a smoke candle at Saigasaki Port of Wakayama Prefecture and evacuated safely. On this occasion, we blame this terrorism to the Japan's parliamentary democrary.

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