NHK交響楽団2021年4月サントリーホール公演

昨日は、NHK FMで19時30分から21時10までNHK交響楽団の2021年4月サントリーホール公演の実況録音が放送されました。

今年4月21日(水)に行われた公演では、前半にグリーグの『2つの悲しい旋律』、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番、後半にシベリウスの交響曲第2番が演奏されました。ショスタコーヴィチのピアノ独奏は阪田知樹、トランペット独奏は長谷川智之、指揮は大植英次でした。

ショスタコーヴィチは、冒頭のピアノとトランペットの絶妙な交わりから聞き手の注意を逸らさない演奏で、時に深刻であり時に諧謔的な音楽を鮮やかに蘇らせていました。

阪田のピアノの卓抜さもさることながら、長谷川のトランペットの正確な演奏はこの日の実況録音の大きな収穫で、いずれ長谷川を独奏者に迎えたトランペット協奏曲を取り上げることが期待されました。

一方、後半のシベリウスについては、大植の指揮の奥行に広がりが増したことが実感され、抒情的であっても惰性に流れず、雄渾であっても漫然としない演奏となりました。

特に第3楽章から第4楽章にかけての推移における均整の取れた様子からは、大植の譜面の理解の確かさが窺われました。

それだけに、第1曲目のグリーグがやや平坦な演奏となったことは残念ではあったものの、「海外にポジションを持つ日本人若手指揮者」として1999年6月の第1382回定期公演を初めて指揮してから再登場までの22年間の軌跡が感慨深く思われた、今回の公演でした。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra April Concert at the Suntory Hall (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the April Concert at the Suntory Hall on 21st April 2021 and broadcasted via NHK FM on 6th May 2021. In this time they performed Grieg's 2 Elegische Melodien, Shostakovich's 1st Piano Concerto, and Sibelius' 2nd Symphony. Solo piano was Tomoki Sakata, solo trumpet was Tomoya Hasegawa, and conductor was Eiji Oue.

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