2023年度の外苑祭について思ういくつかのこと

東京都立青山高等学校の文化祭である外苑祭は、9月2日(土)、3日(日)に2023年度の会期を無事に終えました。

今回の外苑祭そのものに対する私の理解は、9月2日(土)の本欄でご紹介した通りです[1]。

そこで、今回はその他の事項を思いつくままにご案内します。

(1)ステンドグラス風の外装は健在
各クラスの外装はその時々の流行があり、外装の変遷を辿るだけで外苑祭の発展の過程を実感することが出来ます。

その中で、2016年の第70回で3年5組が用いて来場者の耳目を集めたステンドグラス調の意匠は今回も健在で、3年2組の外装を華やかに彩っていました。

こうした点からも、外苑祭の伝統とは開催の形式といった要素だけでなく、外装に至るまで様々な側面に認められると言えるでしょう。

(2)伝統の系譜としてのオリジナル作品
今回は、3年4組が『プラシアの森』を上演しました。

本作は2014年の第68回で当時の3年6組の皆さんが脚本、作詞、作曲をすべて担当した完全な書下ろし新作でした。当時、外苑祭での新作初演は第66回で上演された『Love! Love! Love!』以来2年ぶりのことでした。

外苑祭におけるオリジナル作品は、創造から公演に至るまでの過程は通常の公演に比べてより長く、苦渋に満ちているものの、再演される機会はまれです。

その一方で、『スターダストシティ』が再演されており、今回の『プラシアの森』は昨年度の3年4組に続き、2年連続で上演されています。

これは、昨年度の公演が外苑大賞を獲得したという点もさることながら、オリジナル作品を鑑賞する機会のあった皆さんが既存の作品以外にも演目の選択肢があることを実感したということが見逃せません。

それだけに、これまでの外苑祭で上演されたオリジナル作品が、たとえ一部であるとしても2回以上取り上げられることは、しばしば傍流と考えられやすいこのような作品を次代に伝えるための伝統の系譜の一つであると言えるでしょう。

(3)ICT化の定着
現在、都立高校では、東京都教育委員会による「TOKYOスマート・スクール・プロジェクト」を受け、教育におけるICT化が推進されています。

そして、青山高校は2021年度入学生から一人1台端末を先行導入しており、日々の授業ではICT化が定着しています。

そうしたあり方は、外苑祭の入場券の手配を専用ウェブサイトで完結させ、当日は事前に発行されたQRコードを読み込むことで手続きが完了するというように、省力化が実現しています。

外苑祭は課外活動として青山高校の教育活動全体の中に位置づけられるものです。

そのような外苑祭においてもICT化が定着していることは、これまでの取り組みの成果の一端と考えられるのです。

[1]鈴村裕輔, 外苑祭の開幕を祝す. 2023年9月2日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/2acd6455786d00817a8a3351ab3d85cc?frame_id=435622 (2023年9月4日閲覧).

<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of the Gaien Festival 2023 (Yusuke Suzumura)

The Gaien Festival 2023 of the Tokyo Metropolitan Aoyama High School was held on 2nd and 3rd September 2023. On this occasion, I remember miscellaneous impressions of the festival.

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