NHK交響楽団第1952回定期公演

昨日は、19時30分から20時50分までNHK FMでNHK交響楽団の第1952回定期公演の実況中継を鑑賞しました。会場は東京芸術劇場コンサートホールでした。

今回は、いずれもストラヴィンスキーの作品が取り上げられ、第1曲目が組曲『プルチネッラ』、第2曲目がバレエ組曲『ペトルーシュカ』でした。指揮は、当初予定されていたパーヴォ・ヤルヴィが新型コロナウイルス感染症の拡大の状況受けて来日を見合わせたため、鈴木雅明が務めました。

早くからオルガン奏者として活動し、1990年にバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)を結成して以降、鈴木はヨハン・セバスティアン・バッハの作品を中心とする演奏で国際的な名声を博していることは周知のとおりです。

一方で2010年代に入るとBCJ以外の楽団との共演の頻度も多くなり、2010年の東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会でマーラーの交響曲第1番『巨人』、2016年には東京交響楽団とサン=サーンスの交響曲第3番『オルガン付き』を演奏するなど、現在ではバッハに限定されることなく、多くの曲を手元に置いていることが知られています。

第1952回定期公演で取り上げた2曲のうち、『プルチネッラ』については2015年にフィンランドのタピオラ・シンフォニエッタと録音しています。新古典主義時代のストラヴィンスキーに見出されるバッハの音楽の創造的な継承という側面に即せば、鈴木が『プルチネッラ』に『ペトルーシュカ』を組み合わせる形で公演を行ったことも、大いに頷けるところでしょう。

実際の演奏は演奏者を信頼し、演奏者に寄り添うかのように音楽を作り上げた『プルチネッラ』と、透明感が高く清々しささえ覚える『ペトルーシュカ』となりました。

もちろん、『プルチネッラ』の終盤で金管楽器の足並みに乱れが見えたことなどは今後の課題の一つです。

それでも、NHK響と細部まで丁寧に解きほぐされたストラヴィンスキーを実現できたことは大きな成果であったと言えるでしょう。

<Executive Summary>

Stage Review: NHK Symphony Orchestra the 1952nd Subscription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1952nd Subscription Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre on 11th February 2022 and broadcasted via NHK FM. In this time they performed Stravinsky's "Pulcinella" Suite and "Pétrouchka". Conductor was Masaaki Suzuki.

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