ご即位1年を迎える今上陛下はお気持ちを表明されるか

来る5月1日(金)で、今上陛下が登極されてから1年が経ちます。

昨年は、即位後朝見の儀のに際して今上陛下がおことばをたまわったこと[1]は記憶に新しいところです。

これまで上皇陛下は「ご即位に際し」として1989年8月4日、1999年11月10日、2009年11月6日におことばをたまわっています[2]-[4]。

先例に倣えば、今上陛下も2029年のご即位10年まで5月1日におことばをたまわることはないかも知れません。

一方で、周知の通り、上皇陛下は全国各地で起きた災害などに対して、死亡者へのお悔やみのお気持ちや被災者へのお見舞いのおことばを伝えられています。

とりわけ、2011年3月16日に東日本大震災を受け、上皇陛下が「被災した人々が決して希望を捨てることなく,身体を大切に明日からの日々を生き抜いてくれるよう,また,国民一人びとりが,被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ,被災者と共にそれぞれの地域の復興の道のりを見守り続けていくことを心より願っています」[6]とお気持ちを表明されたことは、大きな話題となりました。

今回も、新型コロナウイルス感染症の拡大により日本に起居する人々が困難に直面していること、さらに英国のエリザベス2世陛下が先例にない国民に向けた演説を行ったことなどに鑑みれば、5月1日に特におことばをたまわることもあり得ると言えるでしょう。

東日本大震災の際の上皇陛下の故事に従うという点でも、登極から1周年といった機会をとらえておことばをたまわり、あるいはお気持ちを表明されることは、日本に起居する人々とともに歩まれ、寄り添う今上陛下にもふさわしいお姿と言えます。

もとより、こうしたおことばの有無については推測の域を出ないものです。

それだけに、明後日の様子が注目されると思われるところです。

[1]即位後朝見の儀の天皇陛下のおことば. 宮内庁, 2019年5月1日, https://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/detail/47 (2020年4月29日閲覧).
[2]天皇陛下ご即位に際し(平成元年). 宮内庁, 公開日未詳, https://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/kaiken-h01-gosokui.html (2020年4月29日閲覧).
[3]天皇陛下ご即位十年に際し(平成11年). 宮内庁, 公開日未詳, https://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/kaiken-h11-gosokui10.html (2020年4月29日閲覧).
[4]天皇陛下ご即位二十年に際し(平成21年). 宮内庁, 2009年11月6日, https://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/kaiken-h21-gosokui20.html (2020年4月29日閲覧).
[5]災害等へのお見舞い. 宮内庁, 公開日未詳, https://www.kunaicho.go.jp/joko/okotoba.html (2020年4月29日閲覧).
[6]東北地方太平洋沖地震に関する天皇陛下お言葉. 宮内庁, 2011年3月16日, https://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/okotoba/tohokujishin-h230316-mov.html (2020年4月29日閲覧).

<Executive Summary>
Will Emperor Naruhito Make His Address on an Outbreak of the COVID-19 on the Occasion of His 1st Anniversary of Enthronement? (Yusuke Suzumura)


The 1st May 2020 is the 1st Anniversary of Enthronement of Emperor Naruhito. If His Imperial Majesty makes his address on an outbreak of the COVID-19, it might be an impressive speech for people in Japan.

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