橋本聖子氏が東京オリ・パラ組織委員会会長として果たすべき役割は何か

本日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(TOCOG)は評議員会を開催して橋本聖子参議院議員をTOCOGの理事に選出するとともに、理事会において森喜朗氏の後任の会長とすることを決めました[1]。

これに先立ち、TOCOGに設置された検討委員会は橋本氏を会長候補とすることを決定したため、橋本氏は2001年に閣議決定された「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」における「公益法人その他これに類する諸団体については、報酬のない名誉職等を除き、その役職員を兼職してはならない。」という規定[2]に従い、国務大臣を辞職しました[1]。

TOCOGは定款において会長は理事から互選し、理事は評議員会が選出することを定めていること、さらに「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」が営利企業などでの兼職を禁止していることに鑑みれば、今回の橋本氏の選定については、所定の手続きに従い、厳正な対応が行われたことが推察されます。

一方で、検討委員会が新たな会長に求める基準として「5つの資質」を示したことから[3]、検討委員会が橋本氏の資質をどのように測定し、どの程度まで満たされていると判断したかについて結果を明示することは、組織の統治能力に疑念が抱かれているTOCOGにとっては重要な措置です。

会長の選出は「森問題」の終わりではなく、むしろ問題を踏まえて組織の体制を適正化するための重要な始まりとなります。

TOCOGの存在についてこれまでになく国内外からの注目が集まっているだけに、綱紀の粛正と諸規程に従った適切な組織の運営がどこまで実現させられるか、橋本氏の果たすべき役割はより大きくなると言えるでしょう。

[1]橋本聖子氏が新会長に就任 東京五輪・パラ組織委員会. NHK NEWS WEB, 2021年2月18日, https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210218/k10012874001000.html (2021年2月18日閲覧).
[2]国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範. 内閣府, 公開日未詳, https://www.cas.go.jp/jp/siryou/kihan.pdf (2021年2月18日閲覧).
[3]五輪組織委新会長の資質議論. 日本経済新聞, 2021年2月17日朝刊3面.

<Executive Summary>
What Is a Role of Upper House Member Seiko Hashimoto as the New President of the TOCOG? (Yusuke Suzumura)

Upper House Member Seiko Hashimoto is appointed as the President of the Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games (TOCOG) on 18th February 2021. In this occasion we examine President Hashimoto's role for the TOCOG.

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