NHK交響楽団12月東京芸術劇場公演

今夜は、19時から20時50分までNHK FMでNHK交響楽団の12月東京芸術劇場公演を聴取しました。

今回は「ベートーヴェン生誕250年」として、前半に『エグモント』序曲とマーラーの編曲による弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」、後半にヴァイオリン協奏曲が取り上げられました。指揮は秋山和慶、ヴァイオリン独奏は諏訪内晶子でした。

秋山は3曲とも悠然とした速度によって各旋律を明瞭に浮き上がらせ、一つの音楽へとまとめ上げており、澱みのない曲作りは放送を通しても十分に説得力を持つものでした。

例えば、『エグモント』序曲は細部まで丁寧に彫琢することで後半の躍動感が際立ちましたし、「セリオーソ」も緩急の対比と彩りの豊かさにより、聞き手の注意を逸らさない演奏となっていました。

また、ヴァイオリン協奏曲は、諏訪内が高音にもう一歩の踏み込みを期待したいところではあったものの、伴奏が緻密な演奏により手堅く支えたことで独奏ヴァイオリンの大らかさが際立つ内容でした。

秋山がNHK響の定期公演に登場したのは1986年3月の第987回が最後で、この時もベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(独奏:ギドン・クレメル)が取り上げられています。

定期公演の代替として行われる12月公演で最後の定期公演と同じ作品が揃えられたところに、秋山が今回の公演に対して大きな意欲を持って臨んだことが推察されます。

それだけに、定期公演が再開した後に秋山が再び登場することが願われるところです。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra December Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the December Concert at the Tokyo Metropolitan Theatre and broadcasted via NHK FM on 11th December 2020. In this time they performed Beethoven's Egmont overture, String Quartet No. 11 edited by Mahler, and Violin Concerto. Solo violin was Akiko Suwanai and conductor was Kazuyoshi Akiyama.

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