池田大作氏の訃報に接して思い出したいくつかのこと

去る11月15日(水)、創価学会名誉会長の池田大作氏が逝去しました。享年95歳でした。

池田氏の宗教家としての事績については、1960年に創価学会の第3代会長に就任して以降同学会の勢力を拡張させるとともに、1964年に政治組織である公明党の結成に関わるなど、現代の日本社会に広範な影響を及ぼしたことは周知の通りです。

そのような池田氏に関する話題として思い出されるのは、政治記者として活躍し、同氏ともしばしば会見した、読売新聞主筆の渡邉恒雄さんによる評価です[1]。

渡邉さんと池田氏が始めて会ったのは、1963年の東京都知事選の時で、現職の東龍太郎知事が自民党から立候補し、創価学会の60万票が選挙の行方を左右した時でした。

ホテルニュージャパンで行われた池田氏と自民党副総裁の大野伴睦氏の二者会談を斡旋した渡邉さんは、30歳代の池田氏に票の取りまとめを依頼する大野氏の姿と「創価学会の60万票を自民党に入れる」という一筆をしたためた池田氏の堂々とした態度に強い感銘を受けるとともに、保革共存として自民党と学会勢力による安定政権を構想し始めたのでした。

その後、ニセ証紙事件によって自民党と創価学会の関係が悪化し、両者の歩み寄りは田中角栄政権の誕生の頃まで待たなければならなかったものの、現在に至る自公連立の祖型を作り上げたという点で、池田氏が日本の現代政治に果たした役割は小さくないものです。

今後、池田氏の生前の活動について様々な話題が示されることになるでしょう。

そのような中でも、渡邉さんが描き出した池田氏の姿はひときわ精彩を放ち続けるであろうと思われるだけに、改めてその記述を思い出した次第です。

[1]御厨貴監修, 渡邉恒雄回顧録. 中央公論新社, 2007年, 337-342頁.

<Executive Summary>
Miscellaneous Memories of Professor Dr. Daisaku Ikeda (Yusuke Suzumura)

Professor Dr. Daisaku Ikeda, the Third President of the Soka Gakkai, had passed away at the age of 95 on 15th November 2023. On this occasion, I remember some episodes concerning in Professor Dr. Ikeda based on Mr. Tsuneo Watanabe, the Chief Writer of the Yomiuri Shimbun.

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