「新型コロナの5類移行」に際しわれわれは「コロナ後の社会」に臨むべきか
本日午前0時、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類がこれまでの2類から5類に移行し、法律の面では従来の結核や重症性呼吸器症候群と同等の扱いから、季節性インフルエンザと同様の枠組みの中に入れられることになりました[1]。
これにより、政府や自治体が法律に基づいて行動制限などを要請することはなくなり、感染症対策は個人や事業者の判断に委ねられることになります。
2020年2月に始まった新型コロナウイルス感染症の対策は今回の措置によって一応の終息をみるとともに、社会は名実ともに「コロナ後」の段階を迎えます。
今後は、例えば飲食店での消毒や検温、間仕切りの設置なども事業者の個別の判断に従うことになりますから、「コロナ禍」の初期に見られたような、こうした対応が行われていない店舗を糾弾するようなこれまで以上に慎まれなければなりません。
また、マスクの着用についても今年3月13日に個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本となっていること[2]に鑑み、本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、改めて十分な注意を払うことが求められます。
それとともに、当局者に求められるのは、「コロナ禍」で明らかになった、証拠に基づいて政策を立案する能力を一層向上させることは、「コロナ後」においても依然として重要な課題であることに変わりありません。
むしろ、政府や自治体には、新型コロナウイルス感染症対策として行った様々な対策が適切であったのか、あるいは新たな利権を生み出していなかったかといった点を慎重に検討し、これからの詮索の立案と遂行に役立てる必要があります。
どれほど苦しい体験も、時が過ぎれば様々な出来事の一つとなり、記憶の片隅へと沈潜するのは明らかです。
それだけに、今回の感染症法上の分類の意向に際し、改めてわれわれの心持のあり方を確認し、当局者の注意を喚起するところです。
[1]新型コロナ5類移行. 日本経済新聞, 2023年5月8日朝刊1面.
[2]マスクの着用の考え方について. 厚生労働省, 公開日未詳, https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html (2023年5月8日閲覧).
<Executive Summary>
What Is an Important Attitude for Us on the Occasion of Downgrading the Legal Status of the COVID-19 to "Class 5"? (Yusuke Suzumura)
The Japanese Government dongraded the legal status of the COVID-19 from "Class 2" to "Class 5" on 8th May 2023. On this occasion, we examine an important attitude for us and tha officials to face the new situation "after COIVD-19 society".