「4地区での解禁」で注目されるライドシェアの今後

昨日、国土交通省は一般の運転手が有償で乗客を送迎するライドシェアについて、東京23区や京都市など4区域を対象に4月から解禁する方針を明らかにしました[1]。

ライドシェアについては、配車アプリの情報に基づいて算出した車両不足の地域や時間帯に限り、タクシー会社の管理の下で解禁されます。

首都圏や日本屈指の観光地である京都市内のタクシーの利用は、時間帯によっては乗車できる車両を見つけることが難しく、天候によっては配車アプリを使用しても近傍に空車がないことは珍しくありません。

そのため、特に需要の多い地域に限定してライドシェアを解禁することは、利用者の便益を考えれば望ましいことです。

また、タクシー会社がライドシェアを管理するという点については、サービスの利用時の品質の保証や問題が発生した際の対応などを考えれば合理的な措置と言えるでしょう。

一方、ライドシェアの導入が目指すところは利用者が負荷なく自動車を利用できる環境を整えることです。

この点からすれば、少なくとも現時点ではタクシー会社が自社の利益を保護することを優先するなら、たとえライドシェアが解禁されても利用者の利便性の向上はおぼつかないところです。

もとより、タクシー会社には一人ひとりの従業員がおり、その雇用を維持することは企業にとって重要な務めです。

それとともに、公共交通機関として公共の福祉の維持や発展に資することも期待されるのがタクシー会社です。

それだけに、今回の4区域でのライドシェアの解禁がどのような形でわれわれ利用者の利益の増進に結びつくのか、これからの状況の推移が注視されます。

[1]東京23区・京都市 毎日運行. 日本経済新聞, 2024年3月14日朝刊5面.

<Executive Summary>
What Is the Meaning of the Lifting the Ban of Ridsharing in the Four Limited Areas? (Yusuke Suzumura)

The Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism announces that the ban of ridsharing will be lifted in this April the four limited areas including Tokyo 23 Wards and the City of Kyoto on 13th March 2024. On this occasion, we examine the meaning of this policy for the benefits of the users of taxie service.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?