広島平和記念式典での菅義偉首相による「あいさつの読み飛ばし」の意味は何か

本日、1945年8月6日に広島に原子爆弾が投下されてから76年目を迎え、広島平和記念公園では広島平和記念式典が行われ、原爆の犠牲となった人々の慰霊が行われました。

式では、政府を代表して参列した菅義偉首相が、あいさつのうち「わが国は核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国であり『核兵器のない世界』の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要です」等と書かれた箇所を読み忘れ、終了後の記者会見において謝罪しました[1]。

連日新型コロナウイルス感染症の対策や国政の重要事項の差配を行うなど、行政府の長として菅首相が寸暇を惜しんで職務に励んでいることは周知のとおりです。

その一方で、行政府の長であるからこそ日々の言動は衆人の環視するところであり、一挙手一投足が批評の対象となるのは当然のことです。とりわけ広島平和記念式典のような社会的な関心の高い式典では、あいさつの内容も含めて注目が集まります。

それとともに、日々の劇務を考えれば、菅首相が心身の疲労を蓄積させていることも推察されるだけに、適切な休養は不可欠となります。

何より、原子爆弾の投下後に広島市で降った「黒い雨」による健康被害をめぐる訴訟について、国が最高裁への上告を断念することを表明し、救済の対象者を拡大した菅首相だけに、一回のあいさつが画期的な判断の価値を損ねることに繋がるのは惜しまれるところです。

従って、内閣総理大臣として参列した菅首相が片言隻句もゆるがせにできないことを考えれば、今後同様の間違いを起こさないよう改善が求められるのは当然のこととなるのです。

[1]菅首相 あいさつ一部読み飛ばし会見で陳謝 広島 平和記念式典. NHK NEWS WEB, 2021年8月6日, https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210806/k10013184971000.html (2021年8月6日閲覧).

<Executive Summary>
What Is a Meaning of the Address by Prime Minister Yoshihide Suga at the Hiroshima Peace Memorial Ceremony of 2021? (Yusuke Suzumura)

The 6th August 2021 is the 76th anniversary of the atomic bombing of Hiroshima. Prime Minister Yoshihide Suga made his address and it has an important meaning for us, since he emphasises to pay our attention to an address itself by his misreading of the paper.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?