「プロオーケストラの定期演奏会の再開」が踏み出した大きな一歩

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2月26日(水)に全国的なスポーツや文化関連の催事の中止や延期、規模縮小[1]が要請されてから中止や延期の措置が取られていた職業管弦楽団の有観客による定期公演が再開され始めています。

主要楽団については6月21日(日)に東京フィルハーモニー交響楽団が曲目を変更し、休憩時間を設けず約1時間にわたり第938回定期演奏会を行うとともに、6月26日(金)には東京交響楽団が休憩時間を含め、当初の予定通りの曲目による第681回定期演奏会が開催されています[2]。

職業管弦楽団を含む音楽活動については、全国公立文化施設協会による「劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」[3]などに準拠し、主催者、会場、来場者がそれぞれ適切な対応を講じることが不可欠となります。

その意味で、従来に比べて主催者にとって、演奏会を開催することは人的、金銭的、あるいは物理的にも負担が増すことになります。

しかし、交響管弦楽界を主導し、芸術性の追求と裾野の拡大とを担う職業管弦楽団にとって活動の中心である定期演奏会を行うことは、各団の経営を考える際に重要であるばかりでなく、日本における交響管弦楽の衰亡を防ぐためにも意義深い取り組みとなります。

それだけに、適切な対応策を講じつながら演奏活動を再開し、あるいは再開の計画を立てた各団は、大きな一歩を踏み出したと言えるのです。

[1]イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージ. 厚生労働省, 2020年2月26日, https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00002.html (2020年6月28日閲覧).
[2]池田卓夫. 動き出す日本のオーケストラたち(1)~様々な課題に取り組み、待望のコンサートを再開. クラシック音楽情報誌 「ぶらあぼ」, 2020年6月23日, https://ebravo.jp/archives/66204 (2020年6月28日閲覧).
[2]劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン. 公益財団法人全国公立文化施設協会, 2020年5月25日, https://www.zenkoubun.jp/info/2020/pdf/0525covid_19.pdf (2020年6月28日閲覧).

<Executive Summary>
The Japanese Professional Orchestras Have Taken the Important First Step after an Outbreak of the COVID-19 (Yusuke Suzumura)

The professional orchestras in Japan restart to hold a subscription concert which was cancelled or postponed since 26th February 2020. They have taken the important first step after an outbreak of the COVID-1, since subscription concert is the core of their activities.

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